2015年04月21日
僕たちが日ごろ抑圧している性質や感情は、家族や身近な人を通して現れる
僕たちは、
自分にとって好ましくないと思える性質や感情を
無意識下に抑圧して生きていますが、
この抑圧された性質や感情のことを、
心理学では「シャドー(影)」と呼びます。
抑圧された性質や感情は消えるわけではなく、
表に出てこないシャドー(影)として、
無意識下から僕たちを振り回してきます。
たとえば、
「自分は強くあらねばならない」という価値観で
生きている人は、
自分の中の弱さ(悲しみ、不安、孤独感など)を
感じないよう、
それらを無意識下に抑圧しています。
そして、このように自分の弱さを抑圧している人は、
身近な人が弱さを見せたときに、
それをなかなか受け入れることができません。
相手の悲しみや不安や孤独感に共感できないのです。
そればかりか、
弱音を吐く相手に対してイライラしたり、
あるいはムリヤリ元気を出させようとして
相手のことを傷つけてしまうこともあります。
このようなとき、抑圧されたシャドーが、
無意識下から、その人を振り回しているのです。
自分の中の弱さ(悲しみ、不安、孤独感)に気づいて、
それを自分の一部として大切にできるようになると、
それまで抑圧されていたものが徐々に統合されていき、
その人は、
より厚みと深みのある人間へと成熟し、
他者の弱さを受け入れることができるようになるのです。
心理学者のユング博士が、
「シャドーの中に黄金がある」と言っています。
シャドーと向き合い、
それを自分の一部として統合していくことによって、
僕たちは、
清濁(せいだく)合わせ飲むような、
大きな器の人間へと成熟していくのです。
一方、
あまりにも強くシャドーを抑圧している場合は、
その人のシャドーを、その人の家族や身近な人が
代わりに表出する場合もあります。
本人がシャドーを抑圧したまま、
その統合に取り組まないでいると、
その人に代わって、その人の家族が、
シャドーを表出する「役割(ロール)」を担うわけです。
心理学者の河合隼雄先生は、
たとえば教育者や医師など、社会的地位が高く、なおかつ
周りから立派な人だと思われている人の子どもに、
問題行動を起こす子どもが多い事実を挙げて、
これを「シャドーの肩代わり」と呼んでおられます。
親が、立派な善人として振る舞おうとするあまりに、
自分の中のフラストレーションやネガティブな感情を
強く抑圧していると、
代わりに子どもが、
フラストレーションやネガティブな感情を発散する
役割を引き受けて、
問題行動を起こしたりするわけです。
これがシャドーの肩代わりです。
親自身が自分のシャドーと向き合って、
抑えてきた欲求や感情に気づき、
それを上手に満たしながら統合していけばいいのですが、
本人がそれをやらない場合、
家族の誰かが肩代わりをするわけです。
そのとき家族は、
その肩代わりを無自覚に(無意識に)やってしまうので、
あまり建設的でない形になってしまいがちです。
シャドーの肩代わりが起きるのは、
家族の中だけではありません。
たとえば、
「不可能はない! やればできる!
我々が向かうところ、勝利しかない!」という
超ポジティブ型の経営者を例に考えてみましょう。
この経営者は、
自分の中の怖れや心配や不安を抑圧していますね。
つまり、怖れや心配や不安をシャドー化させて、
それらをないものにしてしまっているわけです。
このような場合、
経営幹部の誰かが、そのシャドーを肩代わりして、
やたら心配性で、ネガティブ思考になったりします。
つまり、経営幹部の誰かが超ネガティブ型になり、
超ポジティブ型の社長に対するブレーキ役を担って、
その結果、
組織のバランスがかろうじて保たれるわけです。
ところが、中小企業の場合は、
ワンマン社長が、自分の周りにイエスマンばかりを
置くことがあるため、
社長に対してブレーキ役となるタイプの幹部が
排除されるケースもあります。
この場合は、
やがて社内に大きなミスを連発する社員が現れたり、
あるいは社内で不祥事が続いたり、
あるいは、社長の奥さんがウツ病になったり、
社長の子どもが引きこもりになったり……、
つまり、社長の猪突猛進にブレーキをかける役を、
誰かが担うことになる、というケースがよくあります。
これもシャドーの肩代わりです。
人は、自己発見の作業を進めることによって、
自分の中の、それまで気づいていなかった側面に
気づき、
シャドーの統合に取り組めるようになります。
これがユング博士の言う「自己実現」です。
おたがい、そのプロセスを
楽しみながら進めていきたいものですね(^^
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お待ちしております。
「シャドーの統合」や「自己実現」についても
しっかり扱います(^^
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これを「シャドーの肩代わり」と呼んでおられます。
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「不可能はない! やればできる!
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自分の中の怖れや心配や不安を抑圧していますね。
つまり、怖れや心配や不安をシャドー化させて、
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このような場合、
経営幹部の誰かが、そのシャドーを肩代わりして、
やたら心配性で、ネガティブ思考になったりします。
つまり、経営幹部の誰かが超ネガティブ型になり、
超ポジティブ型の社長に対するブレーキ役を担って、
その結果、
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あるいは、社長の奥さんがウツ病になったり、
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つまり、社長の猪突猛進にブレーキをかける役を、
誰かが担うことになる、というケースがよくあります。
これもシャドーの肩代わりです。
人は、自己発見の作業を進めることによって、
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この記事へのコメント
8. Posted by いちご 2019年11月05日 15:35
あまりにも強くシャドーを抑圧している場合は、
その人のシャドーを、その人の家族や身近な人が
代わりに表出する場合もあります。
本人がシャドーを抑圧したまま、
その統合に取り組まないでいると、
その人に代わって、その人の家族が、
シャドーを表出する「役割(ロール)」を担うわけです。
この文を読んで、まさに自分の人生は肩代わりを
させられてきたんだと思いました。自分の人生を生きようと思い、距離を置きたいと申し出ると、あの手この手を使い、離れさせないように仕向けてきます。この場合はどうしたらいいのでしょうか?
その人のシャドーを、その人の家族や身近な人が
代わりに表出する場合もあります。
本人がシャドーを抑圧したまま、
その統合に取り組まないでいると、
その人に代わって、その人の家族が、
シャドーを表出する「役割(ロール)」を担うわけです。
この文を読んで、まさに自分の人生は肩代わりを
させられてきたんだと思いました。自分の人生を生きようと思い、距離を置きたいと申し出ると、あの手この手を使い、離れさせないように仕向けてきます。この場合はどうしたらいいのでしょうか?