2005年02月24日

意見の対立から創造的な解決策を生み出すファシリテーション


両親と11歳の男の子、9歳の女の子の4人家族がいます。

今年の夏休みを楽しむために、今のうちに別荘を買おうということになり
ました。

そして、家族の間に意見の対立が起きました。

父と息子は山を歩くのが好きで、母と娘は海で泳ぐのが好きなのです。
別荘の場所を山にしたい父・息子組と海の近くにしたい母・娘組が対立を
始めたのです。

父・息子組は「なぜ山が楽しいのか」を語り、母・娘組は「海の素晴らし
さ」をアピールしました。


意見の対立を解決するのに、大きく分けて3つのパターンが考えられます。

1つは「ウィン・ルーズ(勝ち・負け)」。
つまり、一方が勝ち、もう一方が負けるという結果です。
この場合、「別荘の場所を山にする」ということになれば、父・息子組が
勝って、母・娘組が負けることになります。
負けた側の母と娘には、いやな気分が残り、山での休暇を楽しめないかも
しれません。

多くの人が、無意識のうちに、この「ウィン・ルーズ(勝ち・負け)」の
パラダイムで物事を考えてしまいます。
つまり、「自分の意見を通して勝つか、もしくは、自分の意見が却下され
て負けるか、そのどちらかしかない」という枠組みで、物事を考えてしま
います。

すると、何が起こるでしょうか?

そうです、「戦い」が起こるのです。
勝つために自分の正しさを主張したり、相手の間違いを指摘したりするよ
うになります。

この場合、負けてしまうといやな気分が残り、決定事項に従うことに抵抗
を持ちます。

会議などで、参加者の充分な納得が得られないまま多数決などで決めてし
まうと、多数派が勝ち少数派が負けるという「ウィン・ルーズ」になって
しまい、「決定したものの実行に移されない」ということが、よく起きま
す。


2つ目のパターンは「ルーズ・ルーズ(負け・負け)」です。
つまり、双方にとって利益の得られない結果になることです。
例えば、言い争った結果、「じゃー別荘なんか買うのやめよう」とか「こ
のメンバーで遊びに行っても楽しくない」なんてことになって、結局どこ
にも行かない、という結果になったりするケースです。
この場合、全員が利益を得られないだけでなく、対立関係が残ることもあ
ります。


3つ目のパターンが「ウィン・ウィン(勝ち・勝ち)」です。
双方(全員)が満足する結論を見い出すことです。

「ウィン・ウィン」を実現するには、誰かを説得したり、妥協させたりす
るのではなく、「みんなが納得する案を見つけよう」ということにコミッ
トし、意見の対立から「創造的な解決策」を生み出すことが必要になりま
す。

ここで登場するのが、ファシリテーション(協働促進)です。
ファシリテーションとは組織(チーム)のパワーを最大限に引き出し、す
ぐれた成果に導く技術です。

会議の運営、プロジェクトの推進、企業変革などにおいて、成果に至るス
ピードを飛躍的に高める技術として注目されています。

ファシリテーションの技術はコーチングの技術とも通じる点が多く、今後
このブログでも記事の中でいろいろご紹介していく予定です。


さて、上記の家族の例で、ウィン・ウィンの解決例を考えてみましょう。
(参照「会議が絶対うまくいく法」日本経済新聞社)

・別荘の代わりにキャンピングカーを買って、ひと夏に山と海の両方に行
 く

・同じような悩みを抱える家族を探して、それぞれが山か海に別荘を買い、
 1年おきに交代して使う

・山も海も近くにある土地を探し、そこで別荘を買う

・山歩きも泳ぎも楽しめるように、湖のある山に別荘を買う

・山と海以外に、全員が行きたい場所を探す


他にもいろいろなアイディアが出そうですね。

大切なのは、「ウィン・ルーズ」のパラダイムで戦うのではなくて、おた
がいの満足を追求すること(=ウィン・ウィン)にコミットすることです。


<情報>

昨年、広島でファシリテーションの勉強会を主催してきたのですが、有志
を募って運営委員会を結成し、今年から日本ファシリテーション協会広島
サロンとしてやっております。

今月の例会が明日ありますのでお知らせしておきます。
(もっと早くお知らせしておけばよかったですね)

日本ファシリテーション協会広島サロン 2月例会

日時:2月25日(金) 18:30〜20:30
会場:広島市女性教育センター(WEプラザ)
テーマ:「ファシリテーションって何?」
お問合せ:有限会社コーチング・マネジメント 野口まで 082-276-6303

来月(3月)も25日(金)です。(会場は未定)


<おすすめの本>

ファシリテーションの入門的な本としては、まずこれがおすすめ!
エクササイズなども紹介してあります。

ファシリテーション入門


同じ堀公俊さんの本で、今日の記事のテーマでもある「意見の対立から創
造的な解決策を!」について詳しく書かれた本は、次の本です。

問題解決のヒント!―ギャップを価値に変える対話術


会議のファシリテーションについては、この本がとてもおすすめです。
アメリカで会議のバイブルと呼ばれ、60万部売れたロングセラーです。
今日の記事の題材は、この本の中の話を参考にしました。

会議が絶対うまくいく法



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あとで解除も自由にできます。



この記事へのトラックバック

1. みんなで素直な心を大切にして幸せになろう  [ 愛とビジョンで成功する ]   2005年02月25日 19:01
僕は、ひとりひとりの暖かい心が、集まった時に、相乗効果で、みんなが、より幸せな人生送ることができると信じています。みんなで、暖かい心を大切に育てましょう。
2. 経営者にとってのファシリテーション  [ ビジネス書・雑誌メルマガブログ:知識をチカラに! ]   2005年03月02日 13:07
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━     
3. ファシリテーション  [ 夢を有言実行で実現!Happy-Go-Lucky Blog ]   2005年10月25日 14:17
チームをまとめるには会議は重要です。 しかし、会議をやってもダラダラ討論するだけで、結局何も決まらない、なんてことは多いですよね。 もし自分のチームを持ったら、 「ファシリテーション」 を駆使して、会議とチーム結束の効率化を図りたいと思っています。

この記事へのコメント

1. Posted by Fun   2005年02月25日 00:35
こんにちわ^^)
なるほど。
全員満足という難関ではありますが、それを追求
することに意味があるわけですね。
それができれば、みんな幸せになれますね。
2. Posted by alchemist2039   2005年02月25日 14:26
こんにちは。
alchemist2039と申します。
いつも、コメントさせてもらっているalchemistです。

実は本日はお願いがあってまいりました。

起業家、投資家、ビジネスパートナーを探せるようにブログを立ち上げました。 
ビジネスパートナーを探せるサイトはあるのですが、
その登録者数の少なさから本当の意味でのパートナーが見つけられないと思います。
このブログという新しい媒体を使えば毎日数千人の人がアクセスするため、ビジネスパートナーを探す場所には最高ではないかと考えました。 

日本がもっとエキサイティングなればと考えています。 
起業を目指す人がコメントに自分の探すパートナーや投資家を募集するというものです。

宣伝していただけないでしょうか?
大変身勝手なのですが・・・

もちろん、完全に非営利目的です。
私の名前も出していません。 
あくまでも目的は起業家のためです。

簡単に宣伝をしていただけると、一気に皆さんの交流が加速すると
思うのですが。
何か運営に当たって問題があればご指摘ください。

よろしくお願いします。

以下がURLです。
http://d.hatena.ne.jp/alchemist2039/
3. Posted by 若菜玄仁   2005年02月25日 19:00
こんばんは。若菜です。

今回の話題は、今、僕がもっとも関心を持っている話題です。

Win-Winについては、もっと勉強したいし、実践したいって思っています。今、会社内で、人間関係でひとつ課題があって、どうしても、Win−Winの関係になれないんです。ちょっと行き詰ってしまっていますが、もう少し様子を見ようと思っています。

またコメントします。
4. Posted by 立石   2005年02月25日 23:43
勝ち組負け組みという最近流行の言葉に踊らされて、いつの間にか無意識のうちに、勝ち負けで判断している自分がいました。今日のブログを拝見して、ハンマーで頭を殴られたぐらいの衝撃を受けた感じがします。たとえこの瞬間は勝ったと満足しても、相手にはしこりが残っていたり、これからの関係に抵抗感を持ったりと、結局は長い目で考えてみると、必ずしも良い結果ではないことがわかりました。
お互い利害関係を求めるビジネス社会に生きる私にとっては、早期実現が難しく思える今日の教えでしたが、少しでも(勝ち・勝ち)を意識に留め、精進していきたいと思います。
5. Posted by 野口嘉則   2005年02月25日 23:59
Funさん
書き込み、ありがとうございます!
また、遊びに来てくださいね。

alchemisutさん
了解しました。
起業を目指す人向けの記事を書く時に、ぜひ紹介させていただきます。

若菜さん
ちょうど関心をもたれてる話題だったんですね。
会社内の人間関係にもご参考になればいいのですが。

立石さん
立石さんの文章から、立石さんが受けられた衝撃が伝わってきました。
ビジネス社会におけるウィン・ウィンの実現、たしかに一筋縄ではいかない
ことも多々あると思います。
おたがい精進していきましょう。
6. Posted by CTP上田   2005年03月06日 10:18
野口さん、ファシリテーション協会の会員なんですね。
当方も、関西支部にて登録しています。
コーチの世界では、他のいろいろな組織との区別化をしているように
思いますが、ファシリテーションやカウンセリングもコーチングの
要素として入っていると思いますので、いろいろ情報収集をしています。

また、読ませていただきます。
7. Posted by 野口嘉則   2005年03月06日 11:23
上田さん
コメントありがとうございます。
上田さんもファシリテーション協会の会員なんですね。
おたがい、いろいろ情報交換していきましょう!
8. Posted by 西木 裕司   2005年06月06日 13:36
こちらが立てば、あちらが立たず・・・

難しいですねえ
10. Posted by み〜ぶ〜   2007年02月19日 16:43
野口さん、こんにちは。
意見を出し合うことが大事ですね、そして、みんなの、ひとりの一つの心が「ウィン・ウィン」で向き合えば、今より幸せになるんですね。
簡単なようで、むずかしそう・・・。
大切な地球のためも、大人が「ウィン・ウィン」しないといけませんね。
今日は、この記事の日にタイムスリップして、お問い合わせをしたかったな〜と思いました。
11. Posted by みぱ   2007年04月20日 22:21
組織を運営していると
必ず現れる現象が、対立ですね。

結局のところ、組織が結束できるかどうかは
ひとりひとりがどれだけ「ウィン・ウィン」の心を
持てるかどうかなのかな、と思いました。

ファシリテーションという言葉の意味をはじめて知りました。
ひとりひとりの心に「ウィン・ウィン」の精神が宿るような
組織構築をしていきたいと改めて思います。

斉藤一人さんの
「どちらが正しいかではなく、どちらが楽しいかを考えよう」
が胸に染みます。
12. Posted by aoiumiaruku-v.v   2007年05月18日 01:45
ウィン・ウィンの精神は、
勝ちでなければ、負け・・・
意見が通らないのは、みじめ・・・
といった二元論から
抜け出すことができると思いました。

五官に頼らず、一般論から離れ、
上の次元から物事をとらえたいです。

いつもゆったりと自分を見下ろしていれば、
主体性を見失わずに、冷静に、
ブレイクスルー思考を見つけられるのでしょう。
目の前のことにガッツいてしまう私を
今日はよく反省します。
14. Posted by michikn   2007年06月14日 00:15
ついつい自分の意見が通らないと負けだと思ってしまいます。。自分の意見が通らないのなら相手の意見も通してなるものか!とも。。。
なんともウィン・ウィンの精神からかけ離れた考えなんでしょう。。我ながら恥ずかしやら情けないやら。。。

今直面していることにウィン・ウィンの精神が活かすことができますように。。

今日も気づきをありがとうございます。
15. Posted by aoiumiaruku-v.v   2008年02月03日 01:43
今日はとてもうれしい日です。
家族の対立が無くなるように、
ずっと努力してきましたが、
溶け出してきました。
はっきりと以前の和やかな家族に近づいてるのが分かります。

つらい孤独に耐えた甲斐があった。
何度も泣いた甲斐があった。
ずっと努力し続けてきた甲斐があった。
ありがとうございます。
今日は気づきにではなく、
素晴らしい結果に感謝します。
16. Posted by あきたん   2008年03月30日 23:44
「ウィン・ウィン」ってよく耳にする言葉ですよね。
それが一番いいのは疑いがないことですが、なかなか実践は難しいところだと感じます。

自分が手に入れたい結果にこだわっていたら、持てない視点。両方が、ウィン・ウィンの視点を持ち、「おたがいの満足を追求する」ことにコミットしてないと、難しいですよね。片方だけじゃ。。。

自分の希望、という枠を飛び出て一段高いところから、両方の希望を同様に見られるようになれたらすばらしいですよね。でもそれは個人個人の意識以上に、組織の文化として形作られるような気がします。
17. Posted by マーガレット   2008年04月03日 17:25
野口さん、こんにちは。
今日からファシリテーションのお話ですね(^o^)よろしくお願いします。
心の中を正直に安心して話せる場面が少なくて、なかなか対立できません。前回までの「質問」のお話のときも、今まで問題を解決せずにきたことに気づきました。
小さい頃から、じゃんけんやくじ引きが大好きで、何かを決めるときも、それが一番早くて楽しい方法だと思い込んでいました。
思いやりをもって相手の気持ちを考えると、じゃんけんやくじ引きでは、不満が残ることに気づきます。
話し合いをすることが大事ですね。
今日は、三年前の私は何をしていたのかな。。って思いながら読ませていただきました。
いつもありがとうございます☆
18. Posted by 成長ゲームマスター   2011年02月24日 04:42
5 先日、職場の会議スタイルはもったいないと感じ同僚と話していました。

うちの会議では、数人の意見しか出なく、結果、その特定の意見がそのまま通ることが多い。
意見を言わないが、すごい考えをもった人が中にいるはずだ。
うちの会議は、もっとよくなるはず。
会議が変われば組織が変わり、組織が変われば社会が変わるはずだ。

などなど、言って。最後には、これから勉強して再来年は僕が議長する!と豪語していました^^

まったく見通しがない中、宣言してしまいましたが、
必要なときに必要な情報がやってくるものですね♪
あまりのタイミングの良さにびっくりしました^^;

野口さん!どこから僕のことを見ているのですか?
って思わずキョロキョロ見渡してしまいそうです^^

ファシリテーター勉強します♪

19. Posted by リリィ♪   2011年02月24日 11:04
ありがとうございます。
お互い満足できる方法は何か?
思いやりをもって、
お互いが満足する選択をすると決めれば、
話し合いの中で創造的な解決方法が、
どんどん生まれて、楽しいですね〜
20. Posted by shige   2011年02月25日 00:19
「ウィン・ウィン」
僕も、改めて意識していきたいと思います。

会議とは言わず何かの意見を出し合ってるときでさえ、
無意識に相手の意見を否定するような発言がでてしまいます。

そんなつもりはないのですが、自分の意見を主張するあまり
結果的にそうなってしまっているのだと思います。

「ウィン・ウィン」を意識して、
相手の本当の目的をしっかり聴く癖をつけたいですね。

今日もありがとうございます。
21. Posted by na7me7   2011年03月03日 06:28
意見の対立を避けて妥協したり、
相手を言い負かそうとしていたところは私もありました。

落ち着いて考えてみると、
皆が心から賛同していないと
HAPPYになれず、嫌な気分が残り楽しめないですよね。

「解決策」が見つからないように感じる時もありました。

「必ず解決策はある」とコミットすることが大切ですね

今日もありがとうございます(^^♪
22. Posted by Maygreen   2011年03月07日 14:29
日本ファシリテーション協会のHP拝見いたしました。

ファシリテーター がいるということは
ファシリテーション である。

 と言うことにさえも 気付いていませんでした。

そっかあ、実践塾は ファシリテーションだったのかあ。



チームの成果の質向上には 「行動を変える」
「行動を変える」 には 「考え方を変える」 

考え方を変えるには 

1●自分自身の心の中を深く省みる 内省 
  自分ひとりで壁を砕くのでは困難 

  → コーチング OR カウンセリング 


2●相互作用を使って自分の枠を打ち破る
   他者とのぶつかり合い 互いの違いを知ることで
   自分の壁を悟り 自分の再発見

  → ファシリテーション  

双方、アプローチが違うだけ
目指すものは 人と組織の活性化。
課題や状況に応じて組み合わせて使う。



またもや 感動いたしました。
なあるほど。
ゆっくりですが、
自己再発見 を 行動の変化につなげていく。
背中を押してもらえたようで 嬉しいです。

野口さん&マスター 
そして 学友の皆様、
今日もありがとう♪♪ございます。
とっても嬉しい日々です。
23. Posted by 気功士:アーナンダ   2012年01月17日 10:15
ファシリテーション(協働促進)。

本業の気功整体、
集客のアクションを
改めてやり始めたところでした。

これは良くて、これはダメ

考え方がしみついていて、
目を見開かされた思いでした。

これもやって
あれもやって。

うまく行ったものを
続けていこうと思いました。

コメントの名前と、
URLも
本業の一貫として今日から
変えて見ました。

いつもありがとうございます。
24. Posted by hide   2012年02月21日 06:56
こんにちは。

「ウィン・ルーズ」の考え方は、自分の中で習慣と
なっているほど、これまでの生活の中で身についた
ものだと思います。

それだけに「ウィン・ウィン」を日頃から実現して
いくには、かなり自分の意識と習慣を根本から変え
ないといけませんね。

「ウィン・ウィン」の意識と習慣が身につけば、
自分自身の成長のステップが次の段階に行けると
思いますので、色々な場面で意識して、習慣に
したいと思います。

ありがとうございました。


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