2005年01月14日

「人材育成の最高の達人」とコーチング


今日は、2人の偉大な人物(=人材育成の達人)とコーチングの関連につ
いて考えてみます。

まず、人を育てることにおいて最高の達人だった人の一人目をご紹介しま
す。

「古今東西を通じて、人材育成において、最高の成果を出した人は誰?」
という質問に対して、多くの経営者や経営コンサルタントの方が、ある人
物の名を答えます。

最も多くの人が「人材育成の達人」に挙げるその人は誰だと思いますか?

日本人です。

その人物とは、吉田松陰です!

彼の松下村塾という私塾からは、幕末から明治維新を導いた重要人物が多
数育っています。
その顔ぶれを見ると、驚くばかりです。

日本の明治維新の原動力となったキーパーソンの多くが、一つの私塾から
輩出されたというのは、奇跡的ですらあります。

その顔ぶれを挙げると、久坂玄瑞、高杉晋作、伊藤博文、山県有朋、入江
九一、・・・。
彼らが、皆、松下村塾の門下生なのです。
(また、松陰の考え方・生き方は、久坂玄瑞を通じて、坂本竜馬にも大き
な影響を与えています)

時代を変えた人物達を育てた松陰ですが、彼が松下村塾で教えたのは、驚
くべきことに、わずか2年あまりです。
しかも、松陰が松下村塾で教え始めたのは27歳の時!

つまり、27歳の松陰は、わずか2年余りの歳月で、日本の歴史を変革する
ような人財を多数育てたのです。

では、彼はどんな育て方をしたのでしょうか?
人財育成の最高のモデルになるはずです。

早稲田大学ビジネススクールの講師であり、吉田松陰の研究家でもある森
友幸照氏は、吉田松陰の人材育成法の特徴として「対話形式で育てた」こ
とを挙げています。

つまり、一方的に教え込むことをせず、「これについては、どう考えます
か?」という質問を多用し、対話によって、門下生自身が自発的に考える
ことをサポートしたのです。

まさにコーチングそのものです!

また、松陰は、次のようなことを言っています。
「教授は能(あた)はざるも、君等と共に講究せん。」
(私は、君達に教えることはできないが、君達と一緒に勉強していきたい)

ティーチャー(教師)と生徒ではなく、共に学ぶパートナーとしての関係
を大事にしています。
コーチングンの基本とも言える「コーアクティブな関係(協働関係)」に
通じます。

さらに、松陰は、門下生一人一人に対する個別対応を重視し、彼らの強み
や長所を見つけることに長けていたそうです。
減点主義ではなく加点主義で育てたそうです。

「松陰はコーチングを学んでいたのではないか?」(そんなわけはないの
ですが)と思ってしまうくらい、コーチングの基本を忠実に実践するよう
な育成法です。


古代ギリシャの哲学者ソクラテスは、後の思想家達に多大な影響を与えた
偉大な哲学者として有名です。

ソクラテスは、相手に質問を投げかけ、相手と問答を繰り返すことによっ
て、相手が自分で答えを見つけ出せるように援助し、このようなやり方を
「産婆術」と名付けました。

ソクラテスの弟子プラトンも、このやり方(問答法)によって育ちました。


また、東洋でも禅宗などでは、問答によって弟子に自ら考えさせ、自分の
力で真理を悟ることが重視されてきました。


吉田松陰、ソクラテス、禅宗などのやり方が、コーチングと非常に共通し
た特徴を持っていることは、とても興味深いです、
その共通点は、一方的に教えるのではなく、質問を投げかけて対話すると
言う「問答形式」なのです。



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この記事へのコメント

1. Posted by miwa   2005年12月29日 15:04
(チャレンジ中)
すごいですね!
私も吉田松陰さんは尊敬してます。

質問の仕方で答えは変わってくる事もあるのかなと思いました!
難しいかもしれませんが、問答形式活かして生きたいです。

いつもありがとうございます。
2. Posted by み〜ぶ〜   2007年02月21日 20:47
野口さん!シンクロです!
今、私は二年前のブログに出会っています。
野口さんのコーチングは、いつも同じ目線でお話してくださり、一方的に教えるのではなく、質問を投げかけてくださって、自分の力で一番いい答えを見つけ出せるように、導いてくださってます。
野口さんのブログと野口さんの『鏡の法則』が、私の歴史に大きなを変革もたらしてくれる予感がします☆
いつも自由に書かせてくださって本当にほんとうにありがとうございます。
今日もありがとうございました。
3. Posted by みぱ   2007年03月18日 09:29
問答形式で、一方的に教え込むことをせず、
対話によって、自発的に考えることをサポートするのですね。

松陰は、27歳という若さゆえに、
教師と生徒ではなく、共に学ぶパートナーとしての関係
という心構えができたのかもしれませんね

相手にものを教える、という姿勢を持った時点でコーチングは
失敗なのかもしれません
改めて自分自身の行動を見直します
4. Posted by aoiumiaruku-v.v   2007年05月08日 23:54
子どもたちの学校以外の教育現場でも、
学校でやってきた(指導方法)を
そのまま使ってしまっているようです。

時代は進んでいて、良くなっているのですね。
(教育=教える) という
簡単で、一方通行なやり方・考え方は
もう時代遅れなのですね。

実際、子どもたちと接していると、
「自分の主張は、先生のと同じでなければ恥ずかしい」
「合っている答えだと確信が持てなければ、発言しない」
という考え方がハッキリと見えてきます。
私が微力ながら、変えていこうと思います。
5. Posted by michiko   2007年06月04日 01:11
考えるってことは全ての基盤なんですよね。私はついつい行き詰まると考えるという行為を放棄しているように思います。
多分考えた先に辿り着く、自分の弱さや情けなさに直面するのが怖いのだと思います。
そして気づいても変わる行動が起こせない自分が嫌なんだと。。
そうやって考えることを止めた結果がもっと自分を苦しめてるんですよね。

少しずつ変わりたいと思います。
自分と向き合いながら。
6. Posted by あきたん   2007年07月16日 22:38
人材育成を行っていた時期もありました。

コーチングも勉強したのですが、うまく機能させることができず・・・
ひとつは自分が未熟で、人様の成長を応援できる器ではなかったのですが、
もうひとつ、決定的な問題があったように思います。

「満足」です。
これでいいと思った瞬間から、人は変わろうという努力をやめ、
問題を感じなくなるものだと実感しています。
成長への意欲というのは、本来つきることがないと思うのですが、
心が満たされていないことが、その意欲を削いでしまうのでしょうか。

満足している人も、本当はどこかに問題を感じているはずです。
人生100%思い通りなんてありえないのですから。
その問題意識まで、問答の中で発掘させることができれば
次のステップに進めるのかなあ。コメントを書きながら、
漠然と思いが至りました。
7. Posted by aoiumiaruku-v.v   2007年12月23日 15:10
大切な(人間教育)をするつもりが、
目の前のことに追われているうちに、
(学習記憶)に摩り替わっているかもしれません。

問答によって(自ら考え)させ、
真理を(自分で悟る)ことを促す・・・

そんな教育者になろうと思います。
自分をコントロールすること。
相手を信頼すること。
たくさんの課題があって、楽しみも多いですね。
8. Posted by マーガレット   2008年01月30日 18:47
野口さん、こんにちは。
私の場合、意気込んでしまっては協働関係になれませんね。
心の中で相手に私の気持ちを押し付けていました。
今日は、コーチングの基本的な姿勢を教えていただきました。
ありがとうございます。
それから、
吉田松陰と私を引きあわせてくれて、ありがとうございます。
ちょうどいいタイミングで素敵な言葉に出会うことができています☆
9. Posted by マーガレット   2008年04月22日 17:41
野口さん、こんにちは。
問答形式、対話形式って、とっても大事だと思いました。
最近、一人で不慣れな自問自答をして迷子になりそうでした(^_^)
コーチが、そばにいてくれるってことは、幸せなことですね。
私も、プロコーチの野口さんに出会えて、とっても幸せです☆
ほんとうに、ありがとうございます。
野口さんのブログの中、どちらに行ってもワクワクします☆
10. Posted by アーナンダ   2010年07月18日 00:31
なるほどな〜

最も自分に必要な部分でした。

吉田松陰さんは、
本当に密度の濃いじんせいだったんだな〜
とも思いました。

いつもありがとうございます。
11. Posted by 成長ゲームマスター   2011年01月14日 07:41
5 やはり、相手を引き出す質問力がコーチングの秘訣なのでしょうか。

数年後、もし「平成維新」という名の「幸せ革命」が起きたとすれば

わずか7ヶ月間の塾「人間学実践塾」がモデルとなることでしょう♪
12. Posted by Maygreen   2011年01月16日 01:40
問答形式 → 質問力 と思いを馳せ

大前健一氏の 「質問する力」から、
「おじいちゃん戦争のことを教えて」中條高徳著 
お孫さんの アメリカの歴史の授業でだされた宿題
「日本はなぜアメリカに戦争を仕掛けてきたのか?」の質問からこの名著を生み出した という 
エピソードを 読みなおしたところです。
この エピソードは
一つの質問から 人に莫大なエネルギーが沸き起こり
自主的に動き出す偉大なるモデルだと思います。

このブログの野口さんからの
沢山の問答で  
コレまで 使わなかった部分の頭が
すこし動き始めてきた気がします。

質問の質は人生の質だ 
というどなたかの言葉も思い出しました。

吉田松陰の松下村塾は、教科書も出入りも
生徒の自由選択だったようですね。

IT講座や このブログというのはまさに そんな場ですね。
様々な好奇心が湧き上がってくる自分を
とても嬉しく思っています。

野口さん、学友の皆様
今日もありがとうございます♪♪♪
13. Posted by na7me7   2011年01月17日 20:30
松陰さんは、
本当に素晴らしい人だったんですね。

振り返ると私は、
人間学実践塾で学んでいくうちに
どんどん自発的に積極的に学びたいという
気持ちが高まったように思います。
今も、学んでいきたい気持ちでいっぱいです。

これは、きっと野口さんが松陰さんのように
共に学ぶ学友として
色々な気づきを与えてくださったからなのだな〜と
改めて感謝します。

これまで影響を受けた方は・・たしかに
ティーチャーではなかったです。
自分で考え抜くことの大切さを学んだ気がします。

まだ今の自分には難しいかもしれませんが
これからは、私もまわりは全て共に学ぶ学友と思って
質問を投げかけて対話する
「問答形式」をもっと取り入れていきたいです!
そのためにも、学んで いっぱい失敗しながら、
失敗を怖がらずに、ネタづくりと思って
頑張っていこうと思います♪

温かい皆さんとこうやって学べることに心から感謝です(^^♪
14. Posted by リリィ♪   2011年01月18日 11:02
ありがとうございます〜
「教授は能(あた)はざるも、君等と共に講究せん。」
大共感です〜
全てのものから学ぶ姿勢で、
対等に共に認め合い学び合う関係が心地よいですよね。
15. Posted by shige   2011年01月19日 01:41
記事を読んで、まさに人間学実践塾を思い出しました。

そして、野口さんの後ろに吉田松陰が見えるようです(笑)

せっかく、こんな素晴らしい学びの場に参加する機会を頂いたのですから、
もっと自発的に参加していきたいと感じました。

16. Posted by アーナンダ   2011年11月19日 14:49
>>「教授は能(あた)はざるも、君等と共に講究せん。」<<
アドバイスの時もですが、
気功整体の時
本当に感じる時があります。
患者さんが私に教えに来てくださることが多いです。

いつもありがとうございます。
17. Posted by hide   2011年11月29日 17:15
こんにちは。

人を育てる基本は時が変わっても普遍なのですね。

教えるという立場においても、一方的なコミュニケーションではなく、
双方向のコミュニケーションを意識する事によって、人を育てる事につながり、
教える本人も色々な気づきを受ける事ができそうですよね。

教えるという機会が結構多いので、今後は「一緒に考えて共に学ぶ」という姿勢を意識しながら取り組んでいきたいと思います。

ありがとうございました。
18. Posted by パンケーキ   2019年10月07日 21:50
社会人、中堅ともなってくると、教えることの方が多くなってきます。

でもそうですよね・・・。
対話をしながら、相手の意見や考えを引き出し、お互いを尊重し合いながらコミュニケーションを図れたら、きっと素晴らしいことになると思います。

対話って、親子でも上司と部下でも、同僚や後輩、教育者や保護者間でも、幅広く使えそうですね。

やってみたいと思います。

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