2005年01月07日

コーチングと女時社会の関係とは?

コーチング研修を受けられる管理職の方達から、「若い社員をマネジメン
トするのが難しい」という話をよく聞きます。
それでコミュニケーションスキルとしてのコーチングに活路を見い出した
いというわけです。

若い社員に対して、次のようなコメントがよく出ます。

・昇給や昇進のためには頑張らない(昇進よりも休日を欲しがる)
・忍耐力がない
・叱咤激励が通じない
・自分の意見を主張しない
・仕事よりもプライベートが優先

次のような言葉もよく聞きます。
「私の時代には、上司に叱咤激励されて頑張ったものです。仕事で結果を
出すことに本気でした。近頃の若い者からは、それが感じられません。ど
うなっているんでしょうか?」

この現象を理解するのに、「女時社会」という言葉があります。

有名な会社なのでご存知の方も多いと思いますが、広島にハー・ストーリィ
という会社があります。
全社員が女性というマーケティング会社です。

そのハー・ストーリィの日野佳恵子社長のご著書「クチコミュニティ・マ
ーケティング2」の中に、「女時社会」という言葉が出てきます。

従来(1990年以前)のやり方では、若い社員のモチベーションや仕事意識
を高めることが難しくなってきていて、その傾向は年々強くなっています
が、その現象を理解する上でも、「女時社会」という言葉はキーワードに
なります。

本の中からご紹介します。

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(以下、「クチコミュニティ・マーケティング2」から野口が要約)

私は、「現代は女時だ」と主張している。
これは、「女性感覚が時代を引っ張っている」という意味。

モノを大量に生産、大量に売る、という強引な力を必要とした高度成長社
会は男時社会。

それに対して、「心地いい」「好き嫌い」「楽しい」といった感情を重視
し、なおかつ伝達方法にメールのような「電子文通」が加わった社会。
これは、まさに女時社会以外の何ものでもないだろう。

男は左脳(論理的脳)で考え行動し、女は直感的、感覚的に行動する。

一般に、「成果」「結果」「結論」を重視するのは男脳。
女性は、結果に到達するまでのプロセスや心の充実感、倫理観、満足度な
ども重視する。

すでに社会人になっている25歳の男性をイメージしてみよう。
性別でいえば男だが、育ってきた環境を考えてほしい。

彼は生まれたときから情報過多社会に属していた。
雑誌もテレビもカラー、そして大学に入るころには世の中にインターネット
があった。

性別は男だが、情報リテラシーは女性と似かよっている。
つまり、女時社会の男性なのだ。

スポーツ選手(男性)がピアスをして公式の試合に出場するようになった。
男性の茶髪、無駄毛剃り、男性専用エステ、男性ファッション雑誌・・・
これらは女時社会を象徴するものだ。

ある40代の男性から聞いた話。
「若い社員が、一人暮らしの部屋に掃除機を買うといったので、日立が
いいよって言ったんです。そしらた彼は、外国製の、本体が透明なもの
を買うっていうんですね。しかも、値段は倍以上ですよ。なぜそれがい
いんだ?って聞いたら、『この掃除機が置いてある部屋に住んでる僕が
好き』って答えたんです。もう、何も言えませんでした。機能とか性能
じゃないんですね。好きっていわれたら、何も助言できません。」

力強い肉体とパワーが経済を引っ張ってきた時代を男時社会というなら、
消費が飽和している現在は女時社会となる。

ちなみに私は女時世代を、1995年のウィンドウズ95登場時に20歳以下だっ
た人達(現在、29歳以下の人達)と見ている。

つまり、40代、50代の人と女時世代は、世代ギャップどころではない差が
ある。
もはや異文化を生きているといってもいいほどの違いだ。

「クチコミュニティ・マーケティング 2」(日野 佳恵子 著、朝日新聞
社)より要約。
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以上、「女時社会」についてご理解いただけたでしょうか。

実際、多くの経営者の方が、若い社員のモチベーションや仕事意識の低さ
に問題を感じておられます。
そして、昔と違って、理屈や権威では彼ら彼女らが動かないことにも、気
づいておられます。

彼ら若い社員たちは、外部からのモチベーションには反応しにくく、ある
意味で、自分の世界・価値観をしっかり持っています。
その彼らを動かすのが、彼らの内側から湧いてくる「内発的モチベーシ
ョン」なのです。

彼らは、自分の感覚には非常に敏感な傾向にあり、内発的モチベーシ
ョンに対しては、素晴らしいレスポンスを示します。

この内発的モチベーションについては、またの機会に詳しい記事をアップ
したいと思います。

さて、今日ご紹介した日の社長の「クチコミュニティ・マーケティング2」
は、クチコミとコミュニティとマーケティングの関係を理解する上で、最
もおすすめしたい本です。


クチコミュニティ・マーケティング2-実践編 あなたの会社がクチコミで伸びる!

それから、先ほど日野社長のブログを覗いてみたら、興味深い記事があり
ましたので、こちらも紹介しておきます。

楽天の三木谷社長が経営において意識されてる3つのことが紹介してあり
ます。

次の3つだそうです。
1.前進
2.徹底力
3.考える

これは、コーチングをする上での指針にもなると思います。

相手(部下、クライアント)の前進力、徹底力、考える力を高めるサポー
トを意識してコーチングをすれば、非常に効果的なコーチングになります
ね。

詳しくは日野社長のブログを見てみて下さい。
http://www.kuchicommunity.jp/blog/hinodiary/

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1. デザインケータイができた理由?  [ @au情報板 ]   2006年07月25日 08:31
auでは、「au Design project」というデザインを追及した携帯電話があります。 「au Design project」の中でINFOBARやneonなど大ヒットしました。 さて、その「au Design project」をKDDIが作った理....

この記事へのコメント

1. Posted by 橋本なおみ   2005年01月08日 00:00
ctpでお世話になりました。

このブログを知ってから、いつもお風呂上がりに読んでいます。
毎日読むのが、とっても楽しみです。

心に栄養が行き渡るような気分になりますよ。
いい時間をありがとうございます。

一日の終わりが待ち遠しいなんて初めてです。


2. Posted by 野口嘉則   2005年01月08日 14:11
橋本さん
コメントありがとうございます。

「一日の終わりが待ち遠しい」、、、私にとって最高の承認です。
エネルギーが湧いてきました。

「ブログ立ち上げて最初の2週間は毎日書くぞ!」って思ってたのです
が(明日でちょうど2週間)、なるべく日刊で続けていこうと思います。

実は、1日30分のブログタイムが、とても楽しいのです。
3. Posted by 大金 亨   2005年01月08日 17:10
先日、コーチエフの細川氏に進められて、野口さんのブログを拝見するようになりました。

ベストセラーの「地図を読めない女、話を聞かない男」を読むと、男女間の情報収集に関する、生物的な差に愕然とさせられますね。

マーケティングやプロモーションに関して言えば、マスメディアがほとんど死に体になっているというのは、既に一部のカンの良い人々の間では、定説となっています。

それに代わるのが、ブログやメルマガなどのマイクロメディア。
このあたりは、私のブログでも掘り下げてみたいと思っています。



4. Posted by 柏木陽志   2005年01月08日 21:30
私のブログにコメントありがとうございます。
女時社会ですか、初めて聞いた言葉でした、笑。
おかげで勉強になりました。
逆に女性の男性化というのもあると思うんですが、
人類はユニ・セックス化に向かってるんでしょうか?

普段、あんまり考えたことの無いテーマなので、
考えるきっかけを頂戴しました。
5. Posted by 野口嘉則   2005年01月09日 22:56
大金さん
細川さんのおすすめでこのブログに来られたんですね。
嬉しいです。(細川さん、ありがとうございます)
「地図を読めない女、話を聞かない男」はインパクトのある本ですよね。

柏木さん
コメントありがとうございます。
人類のユニ・セックス化ですか。
私も考えてみます。
6. Posted by 奈良NARA   2005年11月23日 17:43
初めてお聴きしました、女時社会
だから親世代とは感覚が違うのでしょうか?
先ず男時社会を知ってから、今の女時社会を知っていかないと
差・違いが分からないのでしょうか?
主人と私の違いを明らかにされたようにも感じました。
今までの私の世間の狭さに驚かされるばかりです
色々とお教え頂きまして有難うございます
7. Posted by miwa   2005年12月29日 13:13
女時社会は初めて聴きます。
受け入れなければいけないんでしょうかね。
双方のよさなど考えてみたいです。
8. Posted by チューリップ   2006年09月19日 11:08
確かに、、会社には良くも悪くも女性感覚を持った男の人が多いように感じます。
つい、「男の癖に、、」なんて思ってしまう事もあります。
でも、私も「女の癖に、、」って部分もあるのでおあいこです。
そんな今の時代に合ったコミュニケーション力を身につけたです。
10. Posted by 無限不動山   2006年11月05日 18:02
野口さん、こんにちは。

「女時社会」というと、なにか弱々しいイメージが沸きますが、その真意である、内側から湧いてくる「内発的モチベーション」ということでは、私は幕末の志士をイメージしました。

以前がずっと「男時社会」だったというよりも、振り子のように、「女時」になったり、「男時」になったりしたのかもしれないと思いました。

時代が進化するときには、「女時社会」=「内的モチベーション」が強力に必要なのかもしれませんね。

今日もありがとうございます。
11. Posted by みぱ   2007年03月13日 10:27
女時社会ですか。
最近の若い男性社員さんを見ていて、とてもよく当てはまる話でした。
確かに彼らには今は目標や将来を見据えた話をするより
今を楽しむことや、充実させたりすることの方が重要なようです。

どちらも程よいバランスが必要だとは思うのですが、
その「程よさ」の認識が違うのだと感じます。
もっと彼らを理解しないといけませんね。

今日もありがとうございます。
12. Posted by あや   2007年03月21日 21:14
あたしは29歳以下だから女時社会の世代だと思います


今の人は
反発すること
一般的道から外れること
に強い憧れを無意識にいだいてると思います。

昔の人のような謙虚さが薄れてる気さえします。
自分自身がどこまでひたむきさを忘れないでいれるか考えれました
13. Posted by aoiumiaruku-v.v   2007年04月08日 03:05
時代は異文化とも言えるほど変わっても、
謙虚さを忘れず進むべきだと思いました。

女時社会・・・

それでも人として最も大切なことは
変わらないと思います。
14. Posted by あきたん   2007年05月10日 00:50
私自身は、年齢的には男時社会と女時社会の中間に生きてきたといえるのでしょうか・・・。
でもやはり、20代の前半から半ばくらいの人と話すと、かなりのギャップを感じます。

「当たり前」が通じない。
そこを「当たり前でしょ!」で済まさず、やってほしいこと、守ってほしいことは、省略せずに ”なぜ”を伝えることくらいしか、手が打ててなかったですね。

特に望んで選んだ仕事じゃない人がほとんどですから、自発的にモチベーションを高く持ってもらうのは、なかなか難しいところです。
その人ひとりひとりがコミットできる価値を見出してもらう。そのための働きかけをすることが、遠回りでも早いのかなあという気がしました。
15. Posted by aoiumiaruku-v.v   2007年12月20日 22:25
「もはや異文化といってもいいくらいの違いだ」
まさにそう思います。ずっとその違いに直面しています。

家業を引き継ぐのにも、
今の初代様ではまったく話になりません。
同様に、私もまったく話しにならないと思われています。
権限をもっているのは初代様。
進む時代はまさに今の時代。

修行であります。
逃げずに卒業すれば、
大きく羽ばたかないわけがありません!!!
16. Posted by マーガレット   2008年01月20日 08:38
野口さん、おはようございます。
男時社会と女時社会、それぞれのよいところを出し合えたらいいですね。
子どもの将来を考えると、世代や○○社会を超えて楽しくコミュニケーションできるように、今、私自身が前向きで肯定的で喜びの言葉を使って日時計のように生活する大切さをじみじみ感じます。
それから、振り返ってみてブログを初めから読んでよかったです。
野口さんにはプロフィールには書ききれない横顔がいっぱいあるんですね☆優しさと思いやりと強さが伝わってきて、ますます何者なのか、知りたくなります(^_^)
この記事のように、私にも要約できる力があれば。。といつも思っています。
今日もありがとうございます。
17. Posted by 成長ゲームマスター   2011年01月07日 05:35
5 げ。
僕、女時世代でした。
でも、言われていることわかる気がします。
自分からモチベーション上げていきたいし、
感覚重視だし、

ただ、これもやっぱり融合が大事なんでしょうね。
男時社会→女時社会→次は「女時の良いところ(感性など)を取り入れた男時社会」が来るということになります。

次は「感性重視の男時社会」が来るということになるのかな?

人・本・情報から良いところはどんどん取り入れ、融合していきたいですね。
18. Posted by Maygreen   2011年01月07日 05:58
日野社長のブログの URLが おかしなところに飛んでしまいます。 変更されたのかもしれませんね。


http://www.herstory.co.jp/corp/blog/hino/arch/2005/01/

こちらの 1月7日分の ブログのことですね♪
三木谷社長の 
「最初にゴールを決める。徹底力。俯瞰して考える。」

 参考になります。

女時社会 は「こころの時代」 と 同類語 なのかもと思いました。
内発的モチベーション 調べてきまあす。

今日もありがとうございます!!
19. Posted by Maygreen   2011年01月07日 06:11
内発的動悸づけ、 
むちゃくちゃ 子育ての参考になりました。

まさしく、やる気を育てる!!!!! 


↓  こちら 

http://www2.chokai.ne.jp/~assoonas/UC149-1.HTML

野口さん今日もありがとうございます!!!
20. Posted by リリィ♪   2011年01月08日 20:47
「女時社会」はじめて聞きましたが
自分も女時世代だからか、凄く共感します。
腑に落ちました。
ありがとうございます。
21. Posted by na7me7   2011年01月10日 17:08
私は、今でこそ「心地いい」「好き嫌い」「楽しい」と
いった感情を重視できるようになったな〜って少しずつ感じています。
以前は、違和感を感じながらも・・
感情を感じることがうまく出来なかったことを思い出します。

内発的モチベーション・・
私の中にもこれが湧いてきたからなのでしょうか?
次の記事が楽しみですね。

こうやって自分の過去を振り返りながら、
知識を学ぶこともスゴク意味深いです(^^)
22. Posted by shige   2011年01月19日 01:10
僕も成長ゲームマスターさんと同じく女時世代でした。

野口さんのブログを読んで、共感するところが多かったです。

きっと、そんな世代の良さもいっぱいあると信じて
まずは自分の内発的モチベーションを高めて、

周りの若者のモチベーションも高めていけるような人間に
なりたいと感じました。

いや、肯定で(笑) なります。

いや、なりました!

23. Posted by アーナンダ   2011年11月12日 10:27
ちょっと上の世代ですが、

生きがい
とか
やりがい

重要だと
私も感じます。

いつもありがとうございます。
24. Posted by hide   2011年11月21日 10:10
こんにちは。

「女時社会」・・・。
実感しています。

若い社員のマネジメントには苦労しています。
こちらからの一方的な叱咤激励は左から右という感じで、
「暖簾に腕押し」で空しくなる事もあります。

若い世代が「自分の感覚には非常に敏感な傾向にあり、
内発的モチベーションに対しては、素晴らしい
レスポンスを示します。」というところに、若い社員
のマネジメントに対する鍵があると思います。

「内発的モチベーション」について今一つピンときませんので、
今後の詳しい記事で勉強させていただきます。

ありがとうございました。

25. Posted by パンケーキ   2019年10月02日 20:57
「男時社会」・・・まさに昭和の時代ですよね。

私が就職した当時、「男時社会」を生き抜いてきた先輩方に鍛えられたので、「それが正しい」と思い込み、
「男時社会」の考え方に随分偏って生きてきたんだなぁと、振り返って思います。

でも、現在はそんな自分を手放すことで、随分楽に生きれるようにと変わってきました。
「こうであるべき」から「そうじゃなくてもいいかも」に変わってきて、偏りすぎたバランスを真ん中に戻しつつあると思っています。

記事内容からは逸れてしまいましたが、アウトプットしたいと思いましたので、思ったことをそのまま書かせていただきました。

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