2013年11月11日

子どもの心理的自立を妨げているものは何か?家族関係の健全度は何によって測るか?


こんにちは、野口嘉則です。

今回は最初に、

日本社会に根強く存在する
「子どもの心理的な自立を妨げる要因」についてお話しし、

その後、家族関係の健全度を計る基準についても
少し触れてみたいと思います。



では、話を始めますね。

私たちが心理的・人格的に成長していくためには、
「挫折」や「失敗」や「思いどおりにならない状況」を
何度も経験することが不可欠です。


これらは私たちにとって、
できれば経験したくないことではありますが(^^;

しかし、その経験数に比例して、
私たちの心は打たれ強くなり、
私たちの「生きる力」は高まります。



つまり私たちは、
「挫折」や「失敗」や「思いどおりにならない状況」を
経験することによって、

「ストレス耐性」や「自己コントロール力」を獲得し、
自分という人間の土台を築いていくのです。



私は、ある時期、
偉人の伝記を片っぱしから読みました。

そして、古今東西のたくさんの偉人たちの伝記を
読んで気づいたのですが、

実に多くの偉人たちに共通することは、

貧乏な家で育っていたり、
子どものころに大病を患っていたり、
子どものころに家族に不慮のアクシデントが起きていたり、

つまり、とても不自由な環境の中で、
「挫折」や「失敗」や「思いどおりにならない状況」を
くり返し経験しながら育っているということでした。

偉人たちの多くは、
そのような環境の中で、
自分という人間の土台をしっかり築いたのです。



さて、ここで目を、
今の日本の社会に向けてみたいと思います。

心理学者の河合隼雄先生をはじめ、
多くの心理学者や社会学者が、
「日本は母性社会である」と言っています。

実際、日本の平均的な家庭には
母性社会の特徴が顕著に出ています。



ところで、母性には、
プラスの側面とマイナスの側面があります。

ブログ記事のボリュームの関係で、
マイナスの側面だけをお話しすることにしますが、

母性のマイナスの側面とは、

子どものことを心配し過ぎたり、
子どもに対して過保護・過干渉になったりして、
子どもを心理的に拘束し、
子どもの心理的な自立を妨げてしまう側面です。

そして、日本の家庭は、
この母性のマイナスの側面が強く出る傾向にあり、
そのため、子どもがなかなか心理的に自立できない
という問題があるのです。



たとえば、
子どもに目覚し時計を買い与えておきながら、
「そろそろ起きないと遅刻するよ」と親が起こしたり、

また、
「今日は降水確率50パーセントよ。
傘を持って行きなさい」
と親が天気予報を見て指示をしたり、

こんなふうに、
子ども自身が自分で考えてやるべきことを
親が先回りしてやってしまうと、

子どもは、
「自ら選んだ行動の結果としての失敗」を
体験することができません。

つまり、母性過剰な日本においては、
子どもが「失敗」や「挫折」や「思いどおりにならない状況」を
経験するチャンスを、
親が先回りして奪ってしまっていることが多いのです。



また、
子どもが欲しがるものをすぐに与えてしまうのも、
母性のマイナスの側面です。

今の日本では、
たとえば、子どもが、
「ねえ、このゲーム買ってよ。みんな持っているんだよ。
僕だけ持っていないと仲間はずれになっちゃうよ」
などとアピールすると、

「しかたないねえ」と言いつつ、
すぐに買い与える親も少なくないようです(^^;

しかし、このように、
欲しいものがすぐに手に入る環境で育った子どもは、
ストレス耐性や自己コントロール力が弱くて、
自己中心的な人間になってしまいがちです。

ルソーが著書『エミール』の中で、
「子どもを不幸にする一番確実な方法は、
いつでもなんでも手に入れられるようにしてやることだ」
と述べていますが、

これは心理学的に見ても、的を得た言葉です。



親が、社会的に高いステイタスを持っていたり、
あるいは著名人だったりするケースで、

子どもには小さいときから欲しいものを買い与え、
また、その子が大人になって社会に出るときも、
親のコネで「いい会社」に就職させる。
といった例を聞くことがよくありますね。

これは、母性のマイナスの側面が出てしまって、
過保護になってしまっている例です。

このような場合、子どもは、
ストレス耐性や自己コントロール力の弱い、
自己中心的な人間になってしまいがちなのです。



では、子どもを育てるに当たって、
母性のマイナスの側面が過剰に出ないようにするためには、
どのようにすればいいのでしょう?

どうすれば、子どもの心理的自立を
無理なく、そしてしっかりとサポートできるのでしょうか?


ここからは、私の新刊の宣伝になりますが(^^;

上記の問いに対する答えを、
私の新刊の第3章で、バッチリと述べました。



あと、家族関係の健全度を測るための
極めて有効な基準である「世代間境界」についても
述べました。

日本の家庭は、
この大切な「世代間境界」が崩れていることが多く、
そのため、家族の誰かに問題が起きがちなのです。



家族心理学や家族療法では、

たとえば妻がウツになったり、
子どもが神経症や対人恐怖症になったり、
そのように家族の誰かに問題が起きても、

その個人だけに原因があるのではなく、
家族全体のバランスや健全性が崩れていることこそが
根本的な要因である。
と考えて、家族の問題を解決していきます。

そのようなやり方の一つとして、
「世代間境界」について紹介しました。



以上、私の新刊の宣伝をさせていただきました(^^;



ちなみに、
私の新刊『「これでいい」と心から思える生き方』は、
10月31日に発売されたのですが、

インターネット書店のAmazonでは、
たくさんの方が予約してくださったおかげで、
発売前の予約の段階で「在庫切れ」になり、
発売日以降も「在庫切れ」の状態が続いておりました。

ですが、ようやく在庫がある程度補充されたようで、
現時点では「在庫あり」になっております(^^

「これでいい」と心から思える生き方
「これでいい」と心から思える生き方




最後まで読んでいただき、ありがとうございました。





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