2008年07月28日

人間性を豊かに育む教育とは?


こんにちは、野口嘉則です。

暑い日が続きますね(^^;


前回の記事「子どもをつくるなんてできない?」では、

・操作主義的な言葉に要注意
・シンクロニシティは「起こす」ものではなく「起きる」もの
・子どもを人格的に尊重し、余裕をもって子育てを楽しむために

などのお話をしました。


今回は、その続きです。




最初に、
前回オススメ本として紹介した『教育の完全自由化宣言!』
(天外伺朗 著)の中から、

特に重要と思われるところをご紹介したいと思います。

教育の完全自由化宣言!―子どもたちを救う七つの提言 (人間性教育学シリーズ 1)




この本は、脳科学者の茂木健一郎さんも巻末に推薦文を寄せら
れているのですが、
「脳」という視点から、理性偏重・思考偏重の教育の弊害を、
とてもわかりやすく教えてくれる本だと言えます。



人間の脳には、「新しい脳(=大脳新皮質)」と「古い脳」があって、

新しい脳(大脳新皮質)は理性・知性・思考をつかさどり、
古い脳は情動や直感をつかさどっているそうです。



天外さんによると、

「今の学校教育は大脳新皮質ばかりを鍛える教育になっている。
そのため子どもたちは、自然との触れ合いに欠けたまま成長し、
大脳のより深い部分(古い脳)がさっぱり働かなくなってしまう。
その結果、言語能力に優れ、論理的思考にはやたら強いが、
現実の世界では物事の本質にせまる力が不足している」

天外さんは、この状態を、
「大脳新皮質シンドローム」と呼んでおられます。



たとえば、次のようなタイプの人なんかも、
大脳新皮質シンドロームだと思われます。

頭脳明晰で、仕事の処理能力も高く、スピーチも上手い、
だけど、周りの人と幸せな人間関係を築くことができない。

いい人間関係を周りと築いていけない人は、
いくら処理能力が高くても、
企業など組織の中では重宝されないことが多いですね(^^;



天外さんは、次のように書いておられます。

「有名大学を優秀な成績で卒業してきた人が、企業でまったく
役に立たないことがある。
そういう人は、例外なく勉強ばかりしてきた人で、何かに夢中
になって取り組んだ体験を持っていない。
つまり、熱心に勉強して、いい成績を取り、あふれるばかりの
知識を身につけた人も、それだけでは実社会においてほとんど
役に立たないのだ。
いまの教育だけに頼っていると、こういう実務能力のまったく
ない人が育ってしまう。
教育の中に、本来必要な要素が欠けているのだ」

「最高学府を優秀な成績で卒業してきた官僚たちや、企業の
首脳が、犯罪に走る事件がとても多い。
表に出ていない例や法律には触れないケースまで含めれば、
腐敗や権力の乱用は、至るところで見られる。
彼らは、『道徳』の科目だって、いい成績を収めてきたに違い
ない。
語らせれば、人の生きる道に関して立派な言葉を吐くだろう。
ペーパーテストでいくら大脳新皮質を鍛えても、人間性が向上
するものではない。
単に言語と論理と理性を空回りさせて、うまく立ち回れる人間
を育てているに過ぎない」



今の学校教育について、ズバッと切り込んだお話ですね(^^;



私の知人にも、学校の教員をされている方が何人かおられます
が、その方たちも教育の現場でいろいろ苦労されているととも
に、現在の学校教育のあり方について、高い問題意識をお持ち
です。

その方達からも、
「学習科目の勉強ばかりだけでなく、基本的な人間力を高める
教育をもっとしなければならない。そのためには、カリキュラム
を根本的に見直さないといけない」というお話をよくうかがい
ます。
(こういった教員の方がいらっしゃるというのは心強いですね)




さて、もう一つ興味深い指摘を紹介します。
ルドルフ・シュタイナーが、次のように指摘しています。

「子どものころ(特に7歳まで)に知識を与えすぎたり、理性
(論理思考)を訓練し過ぎると、意志の弱い子どもに育って
しまう」



また、大脳新皮質ばかりを鍛えると、なにごとにも考えすぎる
ようになってしまって、
直感的に自分らしい生き方を選んだり、
思い切って型破りな行動をしたりすることが、できなくなって
しまいます。

ということは、
創造的な生き方ができなくなってしまうということですね。



かつてソニーの取締役として、たくさんの社員を見てこられた
天外さんは、その経験からこう語っておられます。

「ペーパーテストの予定調和の中だけで育ってきた人は、予定
調和の外側の存在を否定してしまう傾向がある。
だから、従来なかった画期的な新技術の価値がわからない」

「いまの学校教育は、新皮質ばかりをせっせと鍛え、わざわざ
潜在能力の発揮を抑えている。
すごい勢いで子どもたちのケツをひっぱたいて、わざわざ独創
性のない人間を育てている。
そして、大脳新皮質シンドロームの患者を大量生産している」



一方、天外さんは、
人間性豊かな成長(バランスの取れた成長)を育む教育方法と
して、
シュタイナー、モンテッソリー、デューイ、ニイルなどの教育論
を紹介し、

さらに、
日本において人間性重視の教育に取り組まれているケースとし
て、奥地圭子さんや堀真一郎さんの実践例も紹介されています。




ということで、今回はこのあたりにします。

この記事は、(おそらく)次回に続きます。
気が変わって、別の話題にするかもしれませんが・・・(^^;







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書評リンク - 教育の完全自由化宣言!―子どもたちを救う七つの提言 (人間性教育学シリーズ 1)
3. 愛着  [ Sola デモクラティックスクール宙(そら) Sola ]   2008年09月16日 12:12
デモクラティックスクールは、その名の通り、すべてが民主的に決定されていきます。 掃除や備品の管理やコンセントの使用からスタッフの雇用条件に至るまで、すべてメンバーである子どもたちの意思が反映されます。 私には、このことがもたらす結果の一つは、学校への...

この記事へのコメント

1. Posted by 比田井美恵   2008年07月28日 15:17
5 野口さんの講演会!!! すごくすごく楽しみです!
何としても行きます!
詳細が掲載されるのを楽しみにしています。よろしくお願いします!(^-^*)
2. Posted by じゅんこアーティスト   2008年07月28日 20:30
4 夜コンビニによった時、幼児が店内を遊び回っていました。
元気な子だなと思いました。しかし夜中の11時です。
異常だと思いました。自由に遊ぶ時間ではありません。
子供の成長にはよくありません。なんか世の中ヘンです。

サドベリー・バレー・スクールのことは、よく聞いています。
本田健さんつながりの友人はチャンスを得て、現地に行かれ
ています。すばらしいです。
(ジョニー&陽子のPFL日記)
http://pfl.livedoor.biz/archives/50671923.html
3. Posted by まる   2008年07月28日 21:33
1

幼稚園教諭も
一応学校...

幼稚園は
子どもの潜在能力
引き出すように
してる


子どもが
イジメとか犯罪とか
おこんないように
心の教育を重視
しています



幼稚園教諭では
ないですがね
4. Posted by マービー   2008年07月28日 22:43
5 九州大学名誉教授の藤野武彦先生のBOOCS理論と近いみたいです。
大脳は脳の中の司令塔というべき存在で、それは大脳新皮質と大脳旧皮質(大脳辺縁系)の二つに区分される。前者は言語や理論、芸術を理解するなどの知的中枢で、後者は喜怒哀楽、快不快といった情動や本能の中枢である。一方、大脳の下方には間脳と呼ばれる自律神経中枢や食欲中枢がある。これらの脳の仕組みを、仮に「高度情報処理システム」と呼ぶことにすれば、人間を取り巻く環境は「情報」または「情報源」といえる。もし、「高度情報処理システム」の処理能力を上回る「情報」が脳に入ってくると、当然このシステムは破綻する。まず、知的中枢である「大脳新皮質」は、外からの「知的情報(ストレス)」に向かってフル回転することになり、「内からの情報」である「大脳旧皮質」からの情報(情動、本能の情報)を無視せざるをえず、その結果、情報の流れは「大脳新皮質」から「大脳旧皮質」へと一方向的(抑圧的)になり、両者の情報交流、情報処理のバランスが失われることになる。それは当然、脳機能の低下につながり、さらに下方の自律神経を司る「間脳」の機能がスムーズに働かなくなる。
この理論はダイエットや健康づくりに応用されているようです。
,燭箸┠鮃に良いこと(運動等)や、よい食べ物でも、自分にとって嫌いであれば決してしない(食べない)
△燭箸┠鮃に悪いこと(食べ物)でも、好きでたまらないか、止められないこと(食べ物)は、とりあえずそのまま続ける(決して禁止しない)。
7鮃によくてしかも自分にとって好きなこと(食べ物)を、1つでもよいから始める(食べ始める)。
これで、ダイエットの成功率があがるそうです。
(嘘のような話ですけど、当然のような気もしてきますね)
藤野先生は、講演の中で「食事を美味しいと楽しむことが何よりの健康づくりです」と言われていました。
5. Posted by コルティ   2008年07月29日 07:40
5 お奨めの本ぜひ読みます。

先日ある長野のキャンプに初めて参加させましたら、
子供が5日間とっても楽しかったらしく、生き生きとして帰って来ました。
第一声が「今すぐ行きたい!また行きたい!」と言ったくらいです(笑)
その会の理念と今日のメッセージがびったりです。
集合する時もかなり大人数でも、笛は一切使わず、ギターと歌で集まったり、子供達自身が自分で考える事をとても大切にしています。

私もこの夏休みは子供達の好きな事を思いっきりやらせてあげて、それぞれの個性を大切にしたいです。

野口さん、素敵なメッセージをどうもありがとうございます!

6. Posted by すず   2008年07月30日 12:37
いつも楽しみに読ませていただいております。

今回の記事を読みまして
私の事だ〜、と思いたる所がたくさんありました。
ただいま33歳です。

私を含めて、今現在の大人たちにも
大脳新皮質シンドロームに陥っている人が多いように思いました。

子供たちへの教育も大切ですが
手本となるべき大人、
大脳新皮質シンドロームに陥っている大人たちには
どのような処方箋があるのでしょうか?
7. Posted by プー   2008年07月31日 23:01
 一斉教育の弊害はいたるところにあると思います。
また、残念ながら子供の感性を大切にすることと、極端な『からすの勝手』を混同している親がいるのも事実です。
関係性を築いていける感性も大切にしていきたいものですね。

 最近無差別殺傷事件が続いていますが、ブログで教えてもらった『存在承認』ができていれば加害者にならずに済んだのかもと思っています。

(アレ?ポイントずれてる?)
潜在意識で繋がっていることを意識して直感力を強くしたい!
8. Posted by しんご   2008年08月01日 13:03
初めてコメントします。

私自身、受験戦争まっしぐらでした。
でも、常に感じる飢餓感と焦燥感・・・
簡単に言えば、目標達成しても物足りない状況が続きました。

いろいろな方の手助けで、今は自分らしく生きることが出来ていますが、確かに日本の教育は、
生きるのが楽しくない人間ばかり育成しています。

私も本田健さんのセミナーに参加してきます。
教育について考えてきます。

しんご
9. Posted by さっちん   2008年08月02日 12:51
5 久々にコメントさせていただきます!
このブログを教えてくれた、大好きな先輩(上司?)の元を離れ、転職し、
今は小学校の教員(臨時採用ですが)をしています。

カリキュラムを根本から見直さなければならないというお話、すっごくわかります。
この世界に入ったばかりの私が言うのもおかしいかもしれませんが、
子どもの先生もいっぱいいっぱいです…。
限られた時間の中で学習科目も、人間性を豊かに…難しいですよね。
特に小学校の学習科目は生きてく上で必要不可欠なものが多く、削るに削れないような気もします。
その狭間で悩む先生方も少なくないと思います。
何かしらの糸口をみつけていけたらいいのですが…。
そして、教員も学習科目で生きてきた人がまだまだ多く、
どう人間教育していったらいいのかわからないんですよね。

ご紹介くださった本、読ませていただきます!!
10. Posted by K.N   2008年08月02日 13:01
5 野口さん、こんにちは。
初めて、投稿させて頂きます。
byブーさんのご意見、無差別殺傷事件は、『存在承認』ができていれば、加害者にならずにすんだかも・・私も全く同じで、本当にそう思います。
『存在承認』とは、人間が生きていく上で最も大切で、最も必要な=『愛情』だと思います。
『存在承認』、事件が起こる前に、親や周りの誰かが
気づき、その人に愛情を注入してあげられれば良かったのに・・・と昨今の殺傷事件の報道を見る度に、胸が
痛みます。被害者も気の毒ですが、加害者も同じ位、気
の毒です。
「酒鬼薔薇聖斗」の神戸連続児童殺傷事件の少年Aも
自分の事を「透明人間」と感じていたようですが、
『存在承認』を得る為に、そんなにも残酷な事件を起こ
さなくてはならないなんて、悲しすぎます。
人、一人一人が大切な『存在』で「生きている」ただ
その事だけで、素晴らしい価値がある。そう誰もが思えるような社会になっていく事を願います。
野口さんの『3つの真実』で語られていらっしゃる事が
すべてだと、私は思います。
11. Posted by フェルメール   2008年08月03日 18:33
5 塩谷信男さん『自在力』、
白峰老師『福禄寿』から発想を得ました。

現在、幸せな生き方を研究しています。

寿;
健康は三つの要素から成り立つようです。
身体。心。知。

知だけ単独で育てても
歪んだ人間が育つだけです。
身体を鍛え、心を育て、
その上ではじめて知が成立するわけです。

福;
健康体が出来た後で、
良好な人間関係を築くための
人格(人間性・人間力・人間愛)を育てます。

寿;
健康と人格を育てた後で、
はじめて豊かさのサークルをつくることができます。
その豊かさの一部に、
お金の豊かさが入ります。

お金以外にも、心、友人、精神、自然、生活など
豊かさには様々な種類があります。


ある人は、学校教育は
「人間を教えるところだ」と言いました。
本当にその通りです。
12. Posted by チャコ   2008年08月06日 20:23
いつも、ピンポイントで悩みのヒントを頂いているような気がします。
ありがとうございます。
人それぞれ...感じ方も考え方も趣味思考も...
だから人生が楽しいのでしょうね。
喜怒哀楽も柔軟な心があって初めて感じることの出来る感情ですよね。
心技体もまた人間形成には必要不可欠なものです。
言葉でいうのは簡単ですが、有言実行で人間関係を築き育てるのは容易い事ではないですね。
いつも毎日精一杯の一日を心掛け過ごすことにしています。
13. Posted by aoiumiaruku-v.v   2008年09月10日 00:08
5 (大脳新皮質ばかりを鍛える教育では・・・)

ほんとにそうですね。共感します。
@潜在能力の発揮を抑えてしまう
@アタマで考えすぎるようになってしまう
@現実のモノゴトの本質にせまる力が不足してしまう
@幸せな人間関係を築く能力に欠けがち

学力を上げる教育に(コりすぎて)視野が狭くなってしまったでしょう。
意識が部分に(偏り)すぎた西洋医学と
人間全体として捉える東洋医学の関係にも似ていると思いました。
人は一筋縄では図れないもの。
私も謙虚にモノゴトを受け止めようと思いました。
14. Posted by リリィ♪   2012年02月07日 20:39
大共感です。
ありがとうございます。
15. Posted by shige   2012年02月11日 00:35
自分もシンドロームの一員なんだろうか?
と考えてしまいます。

親になるのはまだ先の話になりそうですが、
親として子供にしてあげられることを学んでいければと
思います。

ありがとうございます。

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