2005年03月02日

「勝ち負け」にこだわると負けてしまう!ゲーム理論に学ぼう!

今日は、ファシリテーションに関する記事でお話したWin-Win(ウィン・ウ
ィン)について、さらに考えてみたいと思います。
題材として、ゲーム理論の中でも特に有名な「囚人のジレンマ」について
お話します。


あなたは友人のAと共犯で、銀行の金庫から大金を盗み出したとします。
ところが1ヵ月後、容疑者として警察から捕らえられます。

お金はすでに使い果たしていて、物証はありません。

あなたとAは別々の独房に入れられ、刑事から取調べを受けます。

刑事は、あなたとAに2つの選択権を与えます。
選択の一つは「自白する」こと。
もう一つは「黙秘する」ことです。

2人が何を選択するかによって、執行される刑が決まります。


2人がともに黙秘すれば、2人とも懲役2年の刑を受けます。

片方が黙秘し他方が自白した場合は、黙秘した方は懲役10年という最も重
い刑を受け、逆に自白した方は無罪放免されるのです。

2人がともに自白した場合は、2人とも懲役5年という刑になってしまい
ます。


ここであなたは、黙秘するか自白するかを選ばないといけません。
あなたとAは、連絡を取り合うことはできません。

さて、あなたでしたら、何を選択しますか?
よく考えて答えを出してみて下さい。


おたがいが相手を信頼し合って黙秘をすれば、懲役2年という軽い刑です
みます。

しかし、ここで裏切りへの誘惑が起きます。
相手が黙秘してくれさえすれば、自分が自白すれば自分は無罪放免になる
のです。
逆に、自分が黙秘をしても、相手が裏切れば、自分は懲役10年という刑に
なってしまいます。

こう考えて、2人とも相手を裏切って自白してしまうと、2人とも懲役5
年という重い刑を受けることになります。


つまり、おたがいを信頼して協力し合えば、より良い結果が得られるのに、
エゴを出して自分だけの利益を追求すると、ともに不利益をこうむること
になるのです。


これに似た状況は、ビジネス社会に限らず、ふつうの人間関係の間でも、
よくあることではないでしょうか。


Win-Lose(勝ち・負け)というパラダイムで生きている人は、「勝つか負
けるか」を重視します。
そのベースには、「自分と他者の利益は対立するものだ」というビリーフ
(信じ込み)があります。
このような考え方を持っていると、勝つのが難しいケースでは、「勝たなく
ても負けない」という選択をします。

上記の例ですと、自白を選べば、負けることはないわけです。
よければ勝ち(無罪放免)が得られ、悪くても引き分け(ともに懲役5年)
になるのですから、負ける可能性がないわけです。

Win-Lose傾向の強い人は、自白を選びやすいのです。
ということは、Win-Lose傾向の人どうしのペアやチームの多くは、いつも
「懲役5年」という悪い結果を作り出しているのです。

「負けなければよい」という生き方は、皆で負け戦をしているようなもの
です。

また、相手を裏切って得た勝利には、常に不安や後ろめたさがつきまとい、
結果として幸せな人生を失ってしまうということを、Win-Loseにギアが入
った時は思い出すといいかもしれません。


一方、お互いが信頼し合って、黙秘を選んだ場合を考えてください。
この場合、刑が懲役2年ですむというだけではありません。

2人の間に強い信頼関係が築かれます。
これこそ、最大の財産ではないでしょうか。

たがいに黙秘したことで、あなたは生涯の親友を得、最強のビジネスパー
トナーを得ることになるかもしれません。

こういったWin-WIn傾向の人が集まっているチームは最強です。


さて、ここで考えてみて下さい。

相手を信頼するという選択をすることで得られるものには、他に何がある
でしょうか?
相手と協力することで得られるものには、他に何があるでしょうか?

損得(勝ち負け)という視点だけに囚われずに、いろいろな視点から考え
てみて下さい。

精神的に得られるもの、生き方として得られるもの、・・・etc.

仮に相手が裏切っても、結果として負けになっても、それでも得られるも
のがあるはずです。

それは、相手を裏切って得た勝利よりも、価値があって有意義なものかも
れしれませんね。


もう一度、質問させてください。

相手を信頼するという選択をすることで得られるものには、他に何がある
でしょうか?
相手と協力することで得られるものには、他に何があるでしょうか?

この問いへの答えを、あなたの周りの人達(家族、友人、チームメイト、
・・・)といっしょに考えてみてはどうでしょう?


今日の記事を書いていて、私自身のギアがWin-Loseに入る時はどんな時だ
ろう?と考えました。(じっくり考えてみたいと思います)
自分自身のWin-Win度数をもっともっと上げたいと、反省を込めて思いまし
た(^_^)


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1. オタクは世界を救う?  [       売れないマーケティングに用はないっ! ]   2005年03月03日 10:49
野口コーチとは、同じタイミングで同じようなことを題材にしていることが多い気がします。ひょっとしてシンクロニシティ?「囚人のジレンマ」について、取り上げた私のブログ記事をトラバっておきます。気が向いたら読んでやってください。
2. Win-Winの関係って?  [ 人の「賢者力」 ]   2005年03月06日 10:04
会社でも時々Win−Winという言葉が出てきます。採用の観点からの解釈は、採用する会社と採用される応募者の関係がWin-Winである、ということです。採用する側は・・・・会社の売上、利益を拡大するために一緒にがんばれる人材が欲しい・会社の将来のためにがんばって欲し...

この記事へのコメント

1. Posted by アパレルSHOP MGR   2005年03月03日 00:55
はあ、なるほど。。。信頼しているどおしの関係は最高ですね。改めて思いました。思わず自分だったら自白かな?!って考えてしまいましたが。考える視点を新たに学びました。ありがとうございます!P.S.NYから帰ってきました。NY旅行日記も更新しておりますので、お時間ございましたら、アクセスお待ちしております。
2. Posted by 松井 博昭   2005年03月03日 09:51
  こんにちは、松井です

う〜〜ん、この野口さんのブログでファシリテーションにもすごーく興味が湧いてきました。
いろいろな視点から見る大切さを感じます。

この問題これからゆっくり考えます。
このように問いかけで終わると次回への興味や自分で考える時間が増えるのでいいですね〜!
3. Posted by 野口嘉則   2005年03月03日 15:38
アパレルSHOP MGRさん
NYから帰ってこられたんですね、お帰りなさい!
久々の書き込み、嬉しいです。

松井さん
ファシリテーションにご興味がおありなんですね。
ぜひ1〜2冊本を読んでみられることをおすすめします。
いろいろな視点から見るのって、大事ですよね。
4. Posted by 高橋晃@目指せエクセレントリーダー   2005年03月03日 21:39
こんばんは!
とても具体的な内容でわかりやすいですね。
頭でわかっていても、たまに損か得かで考えてしまい、実践できない自分がいるなとつくづく考えさせられました。
でも!今後はもっとじっくり考えてから行動するようにしていきたいです。そして、Win-WIn傾向の人が集まる最強のチームを目指します!!
5. Posted by 野口嘉則   2005年03月03日 22:45
高橋さん
書き込みありがとうございます。
Win-Win傾向の人が集まる最強のチーム!・・・ワクワクする言葉ですね。
6. Posted by CTP上田   2005年03月06日 10:10
こんにちは。CTP受講中の上田です。
当方もブログを開設しまして、「トラックバック」というのを知り、
使ってみようというのと、野口さんの記事にちょっとだけ関連する
ので、させていただきました。

よろしくお願いします。
7. Posted by 西木 裕司   2005年06月07日 10:51
なるほどなあ・・・信じ合うこと

大切ですね
8. Posted by moon   2006年07月03日 18:53
相手を信頼して得られるもの…

一番に「心の安らぎ」と感じました。
信頼出来る人がいるという事ほど
心強く,安心なものはないように今の私は感じます。
9. Posted by みぱ   2007年04月22日 09:48
「囚人のジレンマ」いいですね。
実際に受けた研修の中で似たようなプロセスから
「Win-Win」の考え方を導き出す講義をうけたことがあります。
そのときも大きなショックを受けたました。

刑期の重さに差は出ますが、
出所した後の囚人二人の関係を考えていけば
間違いなく「Win-Win」の選択をすることができますね。

「Win-Lose」の選択をするときは
きっと刑期の重さ・長さのことが気になって
その後のことが考えることができなくなっているんでしょうね。

目先の「Win-Lose」ではなく人生の「Win-Win」を
導く選択を、仲間と共に作り上げていきたいと思いました。
10. Posted by aoiumiaruku-v.v   2007年05月20日 14:19
ありきたりの、どっちを選ぶ?問題ではありませんでした。
最後まで、真剣に読み、考えてしまいました。

相手を信頼するという選択をすることで得られるもの。
    → /瓦琉造蕕 広い視野
相手と協力するという選択をすることで得られるもの。
    → 8澆い梁減濔鞠А´させちが満たされること
仮に相手に裏切られても得られるもの。
    → ゼ分の生き方への自信 Τ阿慮従櫃紡个垢訐儷謀思考

ギアが【Win-Lose】に入ってしまうのはどんな時?
    → /瓦琉造蕕が足りない時 広い視野が持てない時
      8澆い両鞠Г足りない時 させちが満たされていない時
たまごが先か ニワトリが先か・・・・そんな答えになりました。
11. Posted by michiko   2007年06月15日 23:31
相手を信頼するという選択をすることで得られるもの
→自分の心の安定。自信。やすらぎ。

相手と協力することで得られるもの
→信頼関係。一体感。

一回目にこの記事を読んだ時は自白を迷わず選んでいました。
でも今回は・・・黙秘を選んでみようかな・・・と
心に浮かんできました。
少しずつ少しずつ緩やかに変わりつつあります。

12. Posted by aoiumiaruku-v.v   2008年02月13日 00:11
今回、私は黙秘を選びました。
自白で放免されても生きるのがつらそうだと思いました。
私は先日参加したセミナーで気づかせてもらったことがあります。
自信がもてないのは、自分を裏切って生きているからだ・・・・
気づいたときの自分への申し訳なさは、かわいそうで言葉にならないほどでした。
もう
自分との約束を裏切り続けて、
それをごまかして生きる人生はごめんです。
みなさまに感謝します。
13. Posted by マーガレット   2008年04月11日 16:55
野口さん、こんにちは。

わくチャレのおかげです☆
相手を信頼するという選択をすることで得られるもの。
安心感 幸せ 自分を信じる力 勇気 私の居場所と帰れる場所
相手と協力することで得られるもの。
絆 不思議な力
そして、信頼することで得られるものに、より大きなとより深いの言葉でつなげたいです。

「私自身のギアがWin-Loseに入る時はどんな時だろう?と考えました。」
野口さんの自問自答ですか、とても勉強になります。
私も、じっくり考えてみます。
今日もありがとうございます。
14. Posted by あきたん   2008年06月28日 23:17
私は黙秘を選びました。

<相手を信頼するという選択をすることで得られるものには、他に何があるでしょうか?

自己への信頼、誇り、内なる平和。

<相手と協力することで得られるものには、他に何があるでしょうか?

他者へのよりいっそうの信頼感。つながり、絆。
一人では達成できない結果。

15. Posted by nobnob   2009年06月26日 03:18
3 大変おもしろく読ませていただきました!
win-winの関係はとても大切だと感じました。

しかし、
犯罪者どうしが信頼関係を築き、刑を軽くできたとして、
果たしてそれで良いでしょうか?

銀行からお金を盗む、という事はその行為で困る人がいます。

そこに目をつぶって、犯罪者2人の成功だけ考えることは、エゴイズムで、社会全体がwin-winにはならないのでは、と感じました。

あくまで例えばなしでしょうから、ちゃちゃを入れるようで少々不粋かもしれませんがf(^_^;
16. Posted by shige   2011年03月02日 23:52
マスターは本当に誠実な方ですね。
僕はどう頑張っても黙秘が限界な気がします。


ぴろきちさん
お話、感動しました。
信頼すると決めること。
心に刻みます。



囚人のお話、本当に同じ状況になったとしても、
相手を信頼し黙秘を選べる自分でありたいと思いました。

相手を信頼することで得られるもの、

たとえ結果がどうなったとしても、
自分の中に本当の心の豊かさが手に入るような気がします。

今日もありがとうございます。

17. Posted by リリィ♪   2011年03月03日 11:23
約束し、それを守ることが、
人格の強さを創るのならば、
「相手を信頼する自分を信頼する」
選択をすることで、
自分の幹が太くなるでしょう。

誠実であることは自然の原則に添うので
「相手と協力する」ことを選択する場合、
心の平和が得られるでしょう。

ありがとうございます。
18. Posted by 本当に勝ち負けにこだわる人   2012年01月18日 18:17
野口さんへ
初めまして、いろいろな視点から考えてみて下さい。と言ったので考えましたが、

確かに人を信頼することは大切ですが、
実際には相手がどういう人間であるか?を
見極めて行動した方が良いとも言えると思います。
現実的に考えて相手が黙秘するか?自首するか?は
相手側がどんな人間か?によって変わりますから。
それを見抜いて行動すれば、相手に裏切られても相手が誤り保障すれば許す事ができるでしょうし
その時は、お互い信頼しあい2年の懲役の時と同じ信頼感。つながり、絆もうまれるでしょう。
これで決して負ける事はありません!
負けると言うのはこの話の場合、仲間同士争い合うことですからね!

だからこそ、お互いエゴを出して自分だけの利益を追求した場合。5年の刑を受けますが、10年よりはましだし、
ここはお互いを裏切りあって、お互いを許しあう方へもっていくのもありだな!と思いましたね。
裏切ったのはお互い様だし、裏切りあって許しあうほうへ持っていけるなら、大きい信頼関係を持てるかもしれないし…
自分と他者の利益は対立しても、その気持ちをわかってあげれたら
より懐の深い人間にもなれるのではないでしょうか?

勿論、理想論かもしれませんが、
同じ理想論ならこう言う話は2人で(仲間と)刑事をぶっ倒す方に考えたいな
勝ち負けにこだわるからいうけど、自分なら
刑事の選択権を拒否し、刑事を2人で倒す方に考えますね!
本当に勝ち負けにこだわる人と言うのはそんな物です。
他人(敵)からの助けは受けないんですよ!
だって懲役2年、あなたは受けたいですか?刑事を倒し、自由を2人で得る方が本当の勝利でしょう!
刑事の言う事を聴く位なら、まず仲間を信頼しあった方が良いんですから
(刑事倒すにしろ、懲役2年受けるにしろ信頼しあう方がね)
19. Posted by 気功士:アーナンダ   2012年01月21日 20:37
新卒で証券マンになった時、
(もう21年前になります)
研修でこれと同じようなゲームを
やったことがあります。

新入社員同士
ケンケンガクガクのなか、
私は強硬に
Win-Loseで負けなければ良いの考え方を
主張しました。

詳しくは覚えていないのですが、
2人とも自白すると7年×2
のような
最も非効率的な(一番足した年数が多い)
事になる設定だったと思います。

今思うと、
・浅はか
・思いやりのない
選択肢を選んでいたな〜

いつもありがとうございます。
20. Posted by hide   2012年03月05日 01:10
こんにちは。

「囚人のジレンマ」考えさせられました。

人間関係でもビジネスにおいても、人との信頼関係を
構築することがいかに難しく、大切であるかを痛感して
いるところです。

それはWin-Loseの考え方が主流であり、人からの信頼を
得るには難しく、失うのは一瞬だからです。

それだけに相手を信頼することにより得られるものは、
ものすごく大きいものがあると思います。

相手からの信頼はもちろん、人間としての深い絆。自分
自身に対する信頼感や結果を受け入れる人間的大きさや
生き方に対する自信などですかね。

例え裏切られたとしても、裏切るより裏切られる方が、
人間的に格段に成長できるのかなと思います。

ありがとうございました。

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