2005年02月26日

企業研修の成果を最大限に高めるファシリテーションとは?

一昨日、昨日の2つの記事で、「意見の対立から解決策を生み出すファシ
リテーション」の話をしましたね。

ぜひ、会議運営やプロジェクト推進に応用していただきたいと思います。

さて、私は日本全国を飛び回って研修の講師をやっておりますが、講師が
ファシリテーションの技術を使うことは、研修の成果を高める上で非常に
重要なことだと思います。

研修講師は、ファシリテーションの技術を使うことで、参加型の場作りを
し、参加者の参加意欲を高め、参加者から気づきを引き出し、さらに、参
加者の学習を定着させます。
また、グループの相互作用を促進し、限られた時間の中で最大限の成果を
創り出します。

今日は、研修の中で参加者の学びを促進するためのファシリテーションを
一部紹介したいと思います。

例えば、研修の中で、参加者がロールプレイング形式のエクササイズをや
ったとしましょう。

その後で、講師が参加者に「やってみて感想はどうですか?」と質問した
とします。
さて、質問された参加者は、感想を聞かれたわけですから感想を答えます。

「楽しかったです。役割になりきって演じました。」という感想もあるか
もしれません。
しかしこれは、「参加者が何を学び、それが仕事とどう関係していて、こ
れからどうしていきたいか」ということと、あまり関係ない答えです。

講師の質問によって、参加者から帰ってくる答えは変わってきます。
このあたりはコーチングと通じるところです。


講師が感想を問うのではなく、
「やってみて何か気づいたことはありましたか?」と質問したらどうでし
ょうか。

質問された参加者は、自分の中での気づきを探ります。
例えば「自分は相手の話を聞けてないなーと思いました。」と答えたとし
ましょう。

そこで次に、講師が、それを仕事の場面と結びつける質問をします。
講師 「その気づきは、お仕事にどのように関連していますか?」
参加者 「うーん・・・。あっそうか!最近部下からの相談が少ないなと
     思ってたんですが、自分の聞き方にも原因があるかもしれませ
     んね。」

さらに講師が、
「これから、どんなことに気をつけたいですか?」

参加者 「えー、そうですね。とりあえず、部下の話をさえぎって話すこ
     とはやめようと思います。」

以上は、ファシリテーションの一つの例です。
上記の例は、「認知(気づき)」→「関連付け」→「応用」というステッ
プを踏むことで、エクササイズでの体験を、職場で実践する実行課題に結
びつけるスキルです。


もう一つ別の例を挙げます。

研修を終えるときに、
「今日の研修の感想を一言ずつ聞かせてください」と講師が問いかけたと
します。

すると、参加者は見事に感想を話します。
「楽しくて、眠くなりませんでした」
「講師のキャラクターが良かったです」
とか、まさしく“感想”を答える参加者が多いわけです。

もし、研修の成果を振り返って再確認してもらいたいなら、
「今日の研修の収穫・成果は何でしたか?」という質問が有効です。

参加者は問いかけに応えて、自分の中での収穫を探します。
「肯定質問が画期的でした。早速、部下との面談で使えそうです。」
「自分が部下を承認してないことが分かりました。明日から、プロセス承
 認をたくさんしたいと思います。」

「探して」→「見つけて」→「言葉にしてアウトプットする」。
このプロセスで、参加者の学習は定着するのです。

収穫を充分に探ってもらうには、
「今日の研修の収穫のトップ3を教えてください」という問いかけも有
効です。

参加者も、3つの収穫を見つけるためには、深く振り返る必要がありま
す。
その分、気づきも深まります。


今日は最後に、ファシリテーションを学びたい方のために、バッチリと学
べるところを紹介します。
私もいろいろなところでファシリテーションを学びましたが、特に次の2
つがおすすめです。

(1)ワイズコミュニケーション
    プロ・ファシリテーターでもある菅原裕子さんがやっておられる
    ファシリテーションの講座です。
    「研修講師のファシリテーション」と「会議のファシリテーショ
    ン」の、それぞれの講座があり、どちらもおすすめです。

(2)日経ビジネススクール
    日経ビジネススクールで、堀公俊さんのファシリテーションコー
    スをやっています。
    基礎編と実践編と通して受けられることをおすすめします。
    ファシリテーションの理論的なことも体系的に学べ、実践的な実
    習もたっぷりできます。

他には、日本ファシリテーション協会の各支部で公開講座などのイベント
や例会もやっています。
次のくまりテーターさんのブログで、東京支部のイベントの準備の様子など
がわかります。
「Fの魂、Tのつぶやき」


<おすすめ本>

今日もファシリテーション関連のおすすめ本を紹介します。

一昨日から「双方(全員)が納得できる結論を見つける」という話をしてい
ますが、そのテーマにおいてすごく参考になる本が「合意形成の技術」。

まとまらない意見をまとめる合意形成の技術


次に、思考技法の面ですごく参考になるのが「創造思考を身につける」。
ブレインストーミングやNM法、KJ法などの定番技法をはじめ、導入す
る企業が増えて注目されている「6色ハット発想法」なども紹介されてい
ます。

創造思考を身につける―変化の時代を乗りきる発想法


そして、もう一つファシリテーションの本としては「ファシリテーター型
リーダーの時代」がおすすめです。
ファシリテーションのツールの説明が特に充実した本です。

ファシリテーター型リーダーの時代

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1. 気づき  [ 「幸せ」への変革プロモーション ]   2005年04月13日 22:30
成果を最大限に高めるファシリテーション

この記事へのコメント

1. Posted by くまりテーター    2005年02月27日 18:03
トラックバックありがとうございます。

日本ファシリテーション協会「全拠点制覇リーチ組」の一人としては、
「いつかは広島」を胸に、今年の活動に励みたいと思います。

また遊びに来てくださいませ(^^)/
2. Posted by コーチングPUNANA    2005年02月27日 20:18
そうですね、発見です。「この研修での気づき、感想なんでも結構です」などと
尋ねていました。「収穫、成果」と訊いて、参加者の頭の中で、探す作業が始まるのですね。「探して」「見つけて」「言葉にしてアウトプットする」早速使ってみます。ありがとうございました。
3. Posted by 大金    2005年02月27日 23:24
私がファシリテーターになる時に最も注意を払うのは、

「対立のあるところに改善のチャンスあり」

という視点を、参加者に植え付けることです。

長年の間に、仕事上の対立と人間的な対立が入り組んでしまったような場合には、これを解きほぐすことから始めなきゃならないんで、大変ではありますが、共通の成功事例を掘り出して、認識してもらうことなどが役に立つようです。

野口コーチの具体的なご意見などいただければ、うれしいです。

4. Posted by 野口嘉則    2005年02月28日 19:19
くまりテーターさん
書き込みありがとうございます。
ファシリテーション広島サロンに来られる日を楽しみにしております。

コーチングPUNANAさん
発見されたことを早速使ってみようという姿勢、私にとって刺激になり
ます。

大金さん
「対立のあるところに改善のチャンスあり」・・・この言葉いいですね。
ワークショップや会議などで対立が起きた時、私がファシリテーターの
時よくやるのは、チャンクアップして最上位の目的を確認することです。
「共有できるところまで一旦戻る」っていう感じです。
5. Posted by あゆりん    2005年02月28日 20:57
野口さん!

いつ読んでも感心してしまいます。
なーーーんてかゆいところに手が届く、
ステキなお役立ち情報ばかりなのでしょう!!
ヽ(*'0'*)ツ !!

お勧めファシリテーター研修、是非受けてみたいです!

(^人^)感謝♪(^人^)感謝♪
6. Posted by 野口嘉則    2005年02月28日 22:46
あゆりんさん
書き込みありがとうございます。
強力な承認をいただき、とても嬉しいです。
感謝・感謝です(^_^)
7. Posted by Rovin    2005年04月13日 22:34
野口様

トラックバックさせていただきました。
大変参考になりました。ありがとうございます。

もし、可能であればリンクさせていただいてもよろしいでしょうか?

今後ともよろしくお願いします。



8. Posted by 野口嘉則    2005年04月14日 11:17
Rovinさん
コメントとトラックバック、ありがとうございます。
こちらからもリンクさせていただきますね。
9. Posted by 西木 裕司    2005年06月06日 13:46
私はいつも「今日の研修の感想を一言ずつ聞かせてください」と

聞いていました。これから参考にさせて頂きます。

やっぱり聴かないとダメですね
10. Posted by み〜ぶ〜    2007年02月16日 20:36
ファシリテーションも楽しそうですね。
記事の中の質問は、実際に、野口さんのお声が聞こえてきそうな感じがします。企業だけではなく、家庭の中でも効果がありそうですね。
「探して」→「見つけて」→「言葉にしてアウトプットする」
 自分への言葉がけ、クエスチョン、が変わりますね。
「認知(気づき)」→「関連付け」→「応用」
 私の苦手な、実践ができそうです。
こんなに、たくさん、学ばせていただいて、ありがとうございます☆
11. Posted by みぱ    2007年04月21日 09:23
問題点を本人に気づかせることが大切だと思っていましたが、
そんなふうに上手に引き出せてあげられていたら
もっともっと伸びていけるでしょうね。

自分の投げかけ方が甘かったのだと痛感しました。
大変参考になりました。今日もありがとうございます。
12. Posted by aoiumiaruku-v.v    2007年05月19日 00:38
研修とかリーダーとかは、私にはピンときませんけれども、
子どもたちに、「運動会どうだった〜?^^」
        「修学旅行どうだった〜?^^」
ってただ感想を聞いていた私の未熟さは、よく解りました。
        
    「楽しかったぁ〜^^」
ってこたえが返ってきてましたから。

(気付き)を得てもらって、
それを本人のなかに(定着)してもらう。
「どんなことに気が付いたぁ〜?」
「なにが変わったかな〜?」 

 自分にもそう質問していきましょう。^^;
13. Posted by aoiumiaruku-v.v    2008年02月05日 00:20
前回5月の感想と同じことが頭をよぎりました。
ちゃんと成長してるのかな・・・・^^;
「○○してみて得たことは何ですか?」
「それは今後何に活かせそうですか?」
使えるパターンですね。

ほんとに何も考えずに「どうだった〜?」
をオープンクエスチョンだからいいと思ってました。
(導く方向性)を考慮した質問をしようと思いました。

次回ここを訪れたときは、
未熟な今を笑えてることでしょう。
ありがとうございます。
14. Posted by マーガレット    2008年04月08日 22:00
野口さん、こんばんは。
いつもありがとうございます☆

チームの一員として、アイディアを出し合って、思いもよらない成果が出させたときは、とても嬉しいです。
ファシリテーションの場で学んだことを日常の生活の中で活かすためにも、振り返りの時間はとっても大切だと感じました。
投げかける質問によって、気づきが深まるのですね。
楽しい時間とセットで体感できれば、いつまでも心に残ります。
ファシリテーターさんに感謝です☆
もっと、ファシリテーションを学んで、私の町にもファシリテーションの輪が広がりますようにと願っています☆
もうすでに広がり始めているのかもしれませんね(^_^)
15. Posted by あきたん    2008年04月13日 22:17
「感想は?」という質問はありきたりですが、考えてみると、することも、されることも多いなーと、改めて感じました。
せっかく研修を受けたり、行ったりするのなら、できるだけ効果的なものにしたいですよね。
質問の投げかけ方によって、フォーカスする部分が全く違ってくる。せっかくのアウトプットする機会であれば、より深く学びを振り返り、意思表明ができるようなものにしたいです。

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