2005年02月20日

相手から「創造性」と「解決策」を引き出す質問の技とは?


次のようなケースを想像してみてください。

あるプロジェクトを部下に任せたところ、結果として、そのプロジェクト
は8割がた失敗に終わりました。
落ち込んだ部下が、上司であるあなたのところに報告に来ました。

「申し訳ありません。任せていただいたプロジェクトは、8割がた失敗に
終わりました。」

さて、ここでその部下に、どんな質問を投げかけますか?

ものごとの否定的な側面に焦点を当てる質問を「否定質問」といいます。

例えば、「なぜ失敗したんだ?」とか「どんな失敗をしたんだ?」という
質問です。
これらの質問は、一般的には、部下の思考を「言い逃れモード」にしてし
まいます。

「言い逃れモード」になった部下からは、前向き・創造的な解決策や改善案
は、ほとんど出てきません。
逆に、言い訳を見事に見つけて並べてきます。

コーチングでは「肯定質問」を重視します。
これは、ものごとの肯定的な側面に焦点を当てる質問です。

例えば、
「8割がた失敗ということは、2割はうまくいったんだな。どんなことが
うまくいったんだね?」という質問です。

この質問に対して、部下は、うまくいったことを話しているうちに、思考
が前向きになってきます。
この前向きな状態を「解決思考モード」と言います。
この状態になってから、8割の話に移っていけば、前向き・創造的な解決策
を引き出しやすくなるのです。
(8割の失敗内容について効果的に聞き出す質問は、明日の記事でお伝え
します)


コーチングの研修を受けていただいた予備校の教師の方達から、研修の1
ヵ月後のフォロー研修で聞いた話が印象的でした。
「肯定質問はすごい!」とほとんどの方がおっしゃるのです。

以前は、生徒から「先生、わかりません。」と言われたときに、「どこが
わからないんだ?」という否定質問を、ほぼ全員が使っていたそうです。
ところが研修を受けて以降は、「どこまでわかっているんだ?」という肯
定質問に変えたとのことです。

すると、生徒はわかっていることを答えているうちに、さらに考えが整理
されてきたり、中には、正解までたどり着いてしまう生徒もたくさん出て
きたそうです。

肯定質問は、相手の脳の創造性を引き出すのです。


肯定質問は、やる気も引き出します。

例えば、問題に突き当たっている部下に、「この問題を解決しないと前に
進まないんだな?」と否定質問をすると、ますます暗い雰囲気になってし
まいますが、「この問題さえ解決すれば、前に進むんだな?」という肯定
質問に変えるだけで、前向きな雰囲気に変わって、やる気が出てきます。


効果的な質問についての続きの内容は、明日の記事でお伝えする予定です。


これまで、次の記事で効果的な質問についてお伝えしました。

コーチングで質問上手になる「究極の視点」とは?

質問力は自己実現力!今こそ質問力を高めよう!

効果的な質問が人を育てる!質問力を高めるには?

クローズド・クエスチョンはこんな時にパワフルに役立つ!



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この記事へのトラックバック

1. 効果的読書法で成功する  [ 愛とビジョンで成功する ]   2005年02月21日 19:08
スティーブン・R・コヴィーの著書の中で、インサイド・アウトというものがあります。内側を変えて、外側を変えるという手法なのですが、学ぶことでも、仕事でも、うまく活用すれば、すごい効果を発揮すると思います。
2. 「どこまでできてるの?」という問いかけ  [ こんなときにはコーチを雇え! ]   2005年03月21日 23:52
トラックバックに載せている、記事の中で、予備校の講師の方が「どこが出来ないんだ」という質問から「どこまで出来ているの?」という質問に変えてから、生徒の理解に違いが出た、というエピソードがあります。 これはみんなよく体験したことがあるのではないでしょうか?

この記事へのコメント

1. Posted by SHOP MGR   2005年02月21日 01:35
なるほど!すごい前向きでいい質問形式です。自分自身が落ち込んでいるときにも自分に対してつかってみたらいいでしょうね!ありがとうございます。
2. Posted by 若菜玄仁   2005年02月21日 19:06
こんばんは。若菜です。
今回の、肯定質問、すごく勉強になりました。ありがとうございます。
僕は、否定質問が多かったことに気づきました。
もう少し、質問する時は、考えて質問するようにしてみます。
3. Posted by 野口嘉則   2005年02月21日 20:45
SHOP MGR さん
自分が落ち込んでいる時に自分に使うのはとてもいいですよね。
実は、私もそうしています。

若菜さん
質問する時に、考えてから質問するというのは、質問力を高めるのに
とても役立つそうですよ。
4. Posted by 西木 裕司   2005年06月06日 13:05
若菜さんの 質問する時は、考えて質問する

頂きます
5. Posted by 無限不動山   2006年10月06日 12:07
野口さん、こんにちは。

肯定質問は、部下をはじめとした対人関係のみならず、
自分への質問に対しても、とても効果がありそうですね。

「なぜ俺はこうなんだろう・・・」と自分を責める否定質問よりも、
「どうしたらできるだろう・・・」「なにができたのだろう・・・」
また、ちょっと未来を先取りして「なぜ出来たのだろう・・」

質問ひとつでも、自分を労る、そしてパワーが出る質問を自らに
発していきたいと思います。

今日もありがとうございます。
6. Posted by み〜ぶ〜   2007年02月17日 22:03
野口さん、こんばんは。
人生の半分は質問をしているのでしょうか?
自分に対しても、子どもに対しても、「なんで?・・」からはじまる会話が多いということに気づきました。うまくいってないことばかりに、目を向けるのをやめて、これからは、うまくいっていることを言葉にしていこうと思います。野口さん、気づかせていただいて、ありがとうございました☆
44年前の今日は、嘉則赤ちゃんm(__)mが生まれて2日目ですね。
きっと、今より寒かったでしょうね。
野口さんのブログは、現在、過去、未来を考えさせてくれる、不思議なブログです。そろそろ、潜在意識と向き合う時がやってきたように思います。(こわいな〜)
野口さん、これからも、よろしくお願いいたします☆
7. Posted by みぱ   2007年04月18日 14:57
そんなつもりはなかったのですが、改めて聞くと
私はやっぱり否定質問してますね。
自分に対しても他人に対しても。

ついこの前もしてしまったような。。
自分で常に自問自答しているときが否定質問だと
他人に対しても否定質問になってしまうような気がします。

まずは自分自身に対して肯定質問をできるように
していこうと思います。
8. Posted by aoiumiaruku-v.v   2007年05月16日 00:43
普通に、問題点を直視したまま、質問をすると、

発想に閉塞感が生じ、思考にのびやかさが欠ける。

成長・飛躍を目的とする場合、

ただ単に場当たり的な質問をせず、

視野が広がるような、工夫された質問をするほうがいい。

「どこまでは出来ていたんだろう?」
「どこを改善すれば、次はうまくいくだろうか?」
「このチャンスを活かした私には、何が身についているだろうか?」

まずは自分自身に、肯定質問をしていきます。
9. Posted by aoiumiaruku-v.v   2008年01月30日 02:03
(意識のアンテナ)の話を思い出しました。
「どんな向きに」アンテナを張っているかで、
キャッチする情報は異なるんでしたね。
また
「視野の高さ」も何に着眼するかを決定しますね。

あわてて結論を出そうとして、
今を楽しめていない自分が見えました。

肯定質問を投げかけると、その答えのウラに、改善方法がちゃんとくっついている感じがします。直接そこを指摘されなくても、自分で感じ取ることができる気がします。
10. Posted by あきたん   2008年03月17日 00:43
ほんと、ちょっとした言い方の違いなのに、問いかけられたほうの視点は180度違ってくる感じですね。

これは、使わない手はないでしょう(笑)
スキルとしても、そんなに難しくはないと思いますが、単なるスキル、言い方としてだけではなく、ものごとを肯定的に捉える練習にもなりそうですね。
11. Posted by マーガレット   2008年03月18日 11:48
野口さん、こんにちは。
肯定質問は、脳の創造性を引き出したり、やる気を引き出したり、質問のパワーはすごいですね。算数は苦手ですが(^^;)、相手との関係が足し算やかけ算になれるように、ものごとの肯定的な側面に目を向けていきます。
今、久しぶりに立ち止まっていて、またまた、ブログの初めから読んでいます。
野口さんのクラスで学んでいる気分です☆
「混乱はチャンス」「肯定的に考えるための最高の入口が「感謝」なのです」 ですね。 

今、ブログの中で紹介されていた「少女パレアナ」を読んでいます。
次は、何冊か紹介していただいている質問の本を読みます。
すべて、よいタイミングだな〜と喜んでます。
今日もありがとうございます(^_^)
12. Posted by shige   2011年02月21日 01:00
肯定の質問、すばらしいですね。

近々後輩と話をする機会がありそうです。

僕も「聴く」ことと、肯定の質問を意識して、
でも、その事は忘れて話せたら良いなと思います。
13. Posted by リリィ♪   2011年02月21日 15:02
肯定質問、気持ちよさそうですね。
早速会話の中で活用します。
ありがとうございます。
14. Posted by アーナンダ   2012年01月12日 11:50
>>
以前は、生徒から「先生、わかりません。」と言われたときに、「どこが
わからないんだ?」という否定質問を、ほぼ全員が使っていたそうです。
ところが研修を受けて以降は、「どこまでわかっているんだ?」という肯
定質問に変えたとのことです。
<<
目からウロコ。
これ
おそらく出来ていません。
それぐらい
無意識に生きています。

心がけます。

いつもありがとうございます。
15. Posted by hide   2012年02月12日 17:46
こんにちは。

「肯定質問」の大切さを認識できました。

まずは自分自身に対する問いかけを肯定質問に
変えていきたいと思います。

そうすれば、自ずと相手に対しても肯定質問が
あまり意識をせずとも出来るような気がします。

ありがとうございました。

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