2005年01月31日

相手の心理的バリアーを取り除く「聞き方のスキル」とは?(2)


昨日は、カルロス・ゴーン氏の口ぐせを紹介しましたが、今日発売された
「日経ビジネス(2005.1.31号、日経BP社)」は、日産自動車の特集でし
た。

日本の産業史に残る奇蹟の復活を遂げた日産自動車。
その立役者カルロス・ゴーン氏は、インタビューの中で、コーチングの重
要性を次のように語っています。

「自分がキャリアアップしてきた過程で、教育の意義、特にコーチングの
重要性を深く認識するようになりました。」
「成功している企業や高い水準の競争力を持つ企業は、教育やコーチング
を重視しています。裏返せば、社員が学ぶ仕組みを持つ企業こそが強いの
です。」
「教育やコミュニケーションというのは、この炎を燃やし続ける燃料のよ
うなものです。」(以上、ゴーン氏談)

さて、ゴーンさんの話はこのあたりにして、昨日の続きの話に入ります。



昨日はペーシングというスキルについてお話しました。

相手との間に共通点・類似点を作り出すことで、相手に安心感を持っても
らい、打ち解けてもらうスキルでしたね。

人間の脳は、目や耳から入ってくる情報を基に、無意識のうちに相手と自
分の共通点を探すのです。
そして共通点が多いほど、安心するのです。


私のエピソードについて一つお話します。

私は、山口県生まれ、広島県育ちです。
広島の大学を卒業して、(株)リクルートに入社しました。
配属は大阪支社でした。

大阪での社会人生活がスタートして間もなく、私は疎外感に悩みました。
広島弁の私にとって、大阪の人達は、話すスピード、イントネーション、
ノリなどがまったく違うのです。
しかも、私の職場の皆さんは、仕事中でも頻繁にボケをかますのです!
そして、驚いたことに、一人がボケると、ちゃんと他の人からツッコミが
入るのです。
「ついていけな~い!」と、私は、自分だけ取り残されてるような感情を
何度も味わいました。

そんなある日、別の部署のフロアーを歩いていたら、「お前、何しよるん
じゃー!」と広島弁が聞こえてきました。
部下を叱る声です。

私は「広島弁だ!」と嬉しくなって、声の主を見つけました。私の3年先
輩にあたる人でした。

私 「広島の出身なんですか?」
先輩「そうじゃ。」
私 「野口と言います。僕も広島なんです。今晩、飲みに行きませか?」

その方とは、今もお付き合いがあるのですが、当時の私は、「お前、何し
よるんじゃー!」という広島弁を聞いただけで、その人を飲みに誘ってい
るのです。
それだけの情報では、その人が、いい人なのか悪い人なのか、まったくわ
からないはずです。
なのに、私の脳は安心して、「この人と飲みに行こう」とGOサインを出
しているわけです。

このように、人間の脳は、相手との共通点が多いほど、相手とのつながり
を感じ、相手に対して安心感・親近感をもつわけです。
これがペーシングの原理です。

(その後10年大阪に住んだ私は、今となっては、大阪弁の人にとても親近
感を覚えます)


恋人同士のペアルックもペーシング効果があります。
それから、彼女が料理をオーダーした時に、彼氏が「僕も同じものを」と
注文したりするのも、ペーシング効果があるのです。
(もちろん、それだけで恋愛がうまくいくとは限りませんが)


仲間同士で鍋料理を食べるのも、高いペーシング効果があります。
皆が、同じ鍋を囲んで、同じ料理をつついて食べるわけです。
昔から日本人は、人と打ち解けたり、仲間意識を育むのに、鍋料理をうま
く使ってきたと言えるでしょう。
もちろん、鍋料理といえば、家族の団欒にも欠かせないものですね。


家庭においても自然とペーシングが起きています。

「今日、学校で、あったこと」をこどもが嬉しそうにしゃべっている時に、
親も、子どもの顔を見ながら嬉しそうな表情で聞いている。
こういった自然なペーシングを通じて、親と子の間に「安心感」「親近感」
「つながっている感覚」が育ちます。

ところが、子どもが嬉しそうな話をしている時に、親の視線がテレビの画
面や新聞の紙面に向いていたら、どうでしょう?
これはディスペーシング(逆ペーシング)といいますが、これでは、「つ
ながっている感覚」は育ちません。

それから、家族で同じ時間に、同じ食卓で、同じ料理を食べるというのは、
強力なペーシング効果があります。
鍋料理に限らず、カレーライスでもハンバーグでも親子丼でも、何でもい
いのです。
同じ料理を同じ食卓で食べることが、「つながっている感覚」を育み、家
族間の心理的なバリアーをも緩めるのです。

現在は、家族がバラバラに食事する家庭が増えているといいます。
お父さんが仕事から帰宅する時間、お母さんが仕事から帰宅する時間、子
どもが塾に行く時間、・・・など、いろいろな条件があるので、やむを得
ない場合も多いと思います。

同じ食卓を囲んでいても、好き嫌いの関係で、家族が違う料理を食べると
いう場合もあるようです。
お父さんは魚の刺身と枝豆で、お母さんは電子レンジでお昼の残り物をチ
ンして、子ども達はスパゲティーとか・・・
また、外食をよく利用する場合、それぞれが違う料理をオーダーすること
も多いと思います。


もちろん、各家庭、様々な事情がありますので、家族が同じ時間に同じ料
理を食べるのが難しい場合もあると思います。
ただ、ペーシングのことを知っていれば、いろいろな工夫ができると思い
ます。
食事に限らず、家族で共有できるものを増やす工夫をすれば、ペーシング
効果が働いて、家族のつながり感が増すはずです。


(本音コーナー)
今日の話は、とても反省しながら書きました。
特に昨年の私は、過去の人生で最もハードに働いた1年だったのですが、
ほとんど休日なしで、家族と接する時間も惜しんで仕事しました。
家族と共有した時間が、極端に短かったと思います。

しかし、家族はそれを望んでいなかったのです。
家族と話し合ってはじめて分かりました。

今年はプライベートな時間をまず大幅に確保して、その合い間に仕事を入
れるように変えました。
1ヵ月間にお受けする研修の仕事の数もかなり減らして、プライベートな
時間をずいぶん増やしました。

なんとか、このペースをキープしたいものです。

明日(もしくは明後日)は、いよいよペーシングの極意です!
「ペーシングはスキルではなかった!」というお話をする予定です。

それから、昨日~今日お伝えしたペーシングの話は、いろいろな方に教え
てあげていただきたいと思っています。
特に思春期のお子さんがいらっしゃる方には、知っておいていただきたい
という気がします。

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1. 「株式」日産自動車 7201  [ 「社長」になりたい!日記 ]   2005年02月03日 00:43
現在所有している株を一つ紹介していきましょう。 「日産自動車」 7201 四季報には・・・

この記事へのコメント

1. Posted by 宮崎 良徳   2005年01月31日 21:46
おはずかしながら、とりあえずブログ立ち上げました。
内容の充実はこれからです(^^;
野口さんのブログは隅から隅まで読んで勉強してますよ〜
2. Posted by 元スッチ-   2005年02月01日 00:55
お鍋をつつくのが楽しいのも、ペーシングの効果だったのですね。そういえばお見合いの席で、「同じものを注文するように」といわれたのも、そうだったのですね、きっと。野口さんがご家族と話し合いをされたというところが、すごいなぁ。
3. Posted by ブルボン   2005年02月01日 10:58
冒頭のゴーン社長の文、私も読みました。
まだまだそんな雰囲気が備わってない当社ですが、私自身は個人的に
縁あって知り合った野口さんはじめ大勢の方にコーチングを早くに
教えてもらって大変自分の力になったと自負しております。

これからは回りの人にこのよさを伝える番です。

ペーシング効果はあんまり意識してなかったですが、周りから自分が
とっつきやすくされるのはこのことだったのかと思います。
もっともっと意識してペーシングを心がけようと思いました。
4. Posted by 野口嘉則   2005年02月01日 11:12
宮崎さん
ブログの開設、おめでとうございます!
宮崎さんのブログの中の「コーチングはマインドから」のところ、
まったく同感です。
宮崎さんらしさが出ているブログなので、今後の展開が楽しみです。

元スッチーさん
こちらも、ブログの開設、おめでとうございます。
ご自分の強みを発揮されて、実践的で分かりやすいマナーの話を展開さ
れてますね。
今後の記事も楽しみにしております。

ブルボンさん
連日のコメント、嬉しいです。
周りの人にコーチングのよさを伝えていこうとされる志が伝わってきま
す。
心から応援します。
5. Posted by 西木 裕司   2005年06月04日 13:43
私は関西人です

野口さんの関西弁「聴いて」みたいです
6. Posted by miwa   2005年12月29日 18:49
なるほどー!鍋などは今の季節にぴったりですね!

共有する事でつながっているって感覚納得です!
今日も勉強になります!


7. Posted by 睦月   2006年05月28日 11:08
確かに、自分と似たところがたくさんある人の方が親近感を湧きやすいものなのでしょうね。
考えていることや興味や、悩みなども似てくるでしょうから、
話すこともたくさん、あるのでしょうね。
もし、相手と共通点が少なかったとしても、
相手の話に共感する能力が高ければ、それはそれで親近感も湧くのでしょうね。
親が子供の話を熱心に聴いてあげるっていうのは本当に大切ですね。
もし、子供が話しているのを、「忙しいから、うるさい、黙ってろ」と叱り付けたりしたら、
子供は怖くて、もう、話ができなくなっちゃいますね。
本当に、「聴く」って大切だなと思います。
8. Posted by 無限不動山   2006年09月30日 23:33
野口さん、こんにちは。

ページングと、家族の食事が繋がっているというのは、「ハッ」とさせられました。

鍋の話なども、とても興味深かったです。

私の思春期を思い出すと、まさに、親の仕事や、自分や兄弟の部活の関係などで、ほとんど共に食事をする機会が無かった時期があります。

並行して、その時期は、家族の繋がりが一番希薄な時期でもありました。

共感・共有というのは、家族・ビジネス等、広きに渡って大切なことなのだと、改めて認識します。

今日もありがとうございます
9. Posted by み〜ぶ〜   2007年01月10日 16:36
野口さん、ご飯食べてますか?(^o^)
こんにちは。
『同じ時間に、同じ食卓で、同じ料理を・・・』
私も心がけるようにしています。
お料理が無理なら、お茶の時間だけでも、と。
寒い季節には、熱いお茶がおいしいです(感謝)。
大切な人と、同じお料理を一緒にいただけなくなるということは、言葉では言い表せないくらい辛く悲しいです。大げさかもしれませんが、奇跡が起きるためにも、食事は共にしたいです。「食べることは、生きること」ということに繋がっていくと思います。
実は「ワクワクチャレンジ」を途中で逃げ出してしまいました。逃げ出してしまっても、野口さんのブログの中にいると安心できます。
今日の記事に出会えて、逃げ出してよかった&またチャレンジできると思いました。
コーチングの野口さんに心から感謝しています。ありがとうございます。

10. Posted by み〜ぶ〜   2007年01月10日 21:01
野口さん、すみません。
さきほど、コメントさせていただきましたが、訂正させてください。
「逃げ出してもよかったんだ&またチャレンジできる」です。
お忙しいのに、すみません。
11. Posted by 雲水さん85   2007年02月14日 22:34
ワクワクチャレンジを終え、
タダほど高いものは無いと思い直し、
『鏡の法則』(これもネットから最初は取ってました)
『幸せ成功力を日増しに高めるEQノート』
を買いました。
EQノートからビリーフが解り、感謝しており。

さて次は・・・

過去のブログから順番にやってこう、
とノートを取り、
やっと1月まで終わりました。

タダほど高いものは無いと言いつつ、
ブログとメルマガはタダで・・・
ありがとうございます。

お奨めの本も、5,6冊買っております。
(アマゾンは便利すぎて恐ろしい)

長くなりました。
ありがとうございます。
12. Posted by みぱ   2007年03月31日 09:33
家族の支えがなんといっても一番ですよね。
そのことにつくづく思い知らされます。

野口さんのように時間を上手に
作れるようにはまだなっていませんが、
何があってもそのポイントははずさないように
していきたいと思います。

つながっている感覚を、
会社にも、もっともっと作っていきたいです。
13. Posted by aoiumiaruku-v.v   2007年05月10日 13:43
反省させられました。

家族そろっての食事は、
単なる(エネルギー補給)
ではなかったのですね。

ちいさい頃、食事中はテレビを見させてもらえませんでした。

ペーシングも兼ねていたのですね。
なるべく食事を一緒にとるように心掛けていきたいです。
14. Posted by あきたん   2007年10月12日 23:25
「家庭においても自然とペーシングが起きています。」

ぎくっとした一言でした。
そこに、「愛情」や「理解」があれば、自然と起きるものなのでしょうが・・・

子供にペーシング、できていません。
自分の余裕のなさが痛いです。
15. Posted by aoiumiaruku-v.v   2008年01月01日 22:34
共通点は安心感をもたらしますね。
仲良くなりたい人とも
仲良くできにくい人とも
共通点を見つけて、育てて、
輪を広げていきたいです。

人間関係・・・今までは面倒くさいと思ってた。
付き合いは余計な金が出て行くと思ってた。
思考と行動をひとつ超えてみたら
知らなかったあたたかさを知り始めた。
(人間関係は豊かさをもらたす)ですね。
ありがとうございます。
16. Posted by マーガレット   2008年02月25日 14:14
野口さん、こんにちは。
共有する時間を一人で創りだすのは、むずかしいです...
話し合いが大切ですね。
家族で時間を共有できたとしても時計ばかり気にしています。いろいろ工夫して、家族や大切な人たちと共有する時間を創りだして、「つながっている感覚」を忘れずにいたいです。
いつも野口さんのブログに、アイディア感を刺激されています。
ありがとうございます♪
ゆったりした気持ちで、健康で食事をおいしく体の中に受け入れられることに感謝して食べ残すこともなくなれば地球にも優しいかなと。。
ベーシングは地球にも優しいことに気づきました。
奇跡を行った神さまは、強力なベーシングをご存知だったのですね☆
今の季節、お鍋もお好み焼きもおいしいです(^_^)
17. Posted by アーナンダ   2010年07月18日 16:21
実は体験的に
アドバイスを求める方に、
『家族で御飯を食べてますか?』
そして
『家族みんなでご飯を食べてみてください』

お伝えしていました。

特に
不登校のご家庭に効果が高い。

何か
家族で共有するもの、
大切だな
と感じました。

いつもありがとうございます。
18. Posted by リリィ♪   2011年01月31日 12:45
野口さんの広島弁のお話凄く共感しました。
外国に行くと日本語を話している人がいるだけで、
理屈抜きにほっとします。
共通のものは本当に安心するのですね〜
ありがとうございます。
19. Posted by shige   2011年02月01日 00:13
ページング、前回の記事ではテクニック的側面が強かったですが、
やはり原点は心や感情の共有なんですね。

相手と同じ空間、空気、感情や行動を共有しようという姿勢が
良いページングにつながるのかなぁと感じました。

今日もありがとうございます。

20. Posted by na7me7   2011年02月01日 00:58
ペーシング効果
私自身が感じています。
人間学実践塾の方や野口さんの著書が大好きな方に
私の脳は安心して、
「この人とお話ししたいな〜、もっと親しくなりたいな〜」と
お誘いのGOサインを出しています(笑)
その人が、いい人なのか悪い人なのか、まったくわからなくても
相手とのつながりを感じ、相手に対して安心感・親近感をもっているんですね(^^♪

家族がバラバラに食事する家庭が増えている・・・。
確かに現代は
家族が同じ時間に同じ料理を食べるのが難しい場合もありますね。

ペーシングの効果を知ったので、今まで以上に
いろいろな工夫をしながら、できる限り
毎日の生活の中に
家族で同じ時間に、同じ食卓で、同じ料理を食べる時間を
作っていこうと思います。
21. Posted by Itamitorinosuke   2011年02月12日 11:25
私は、他人から、人当たりのよい人、取っつきにくい人といろいろな評価をいただきますが、今回のブログを読ませて頂いて、前者の場合は比較的自然にぺーシングをできていたのかなと思いました。
家族との関係では、妻の家庭が母子家庭だったせいか、朝晩の挨拶もなく、食事もバラバラが基本で、今の家庭でも基本的にはこの路線です。これではいけないとは思っていないのですが、できるだけ一緒に飯を食い、語り合い、朝晩の挨拶をするように、私一人ですが心がけています。いつか家族皆が賛同してくれると良いなぁ。
22. Posted by アーナンダ   2011年12月20日 19:37
2007年、2010年の自分のコメントがありました。
>>
家族で同じ時間に、同じ食卓で、同じ料理を食べるというのは、
強力なペーシング効果
<<
小林正観という人は、
一緒に食べることを重視していたと感じていました。
合宿は別名、ブロイラー合宿で、ひたすら食べる時間が多い。
不思議と太らず痩せるのですが、
あまり眠らないのと、頭をすごく使っているカラらしかったのです。

皆で食べる事を
改めて
大事にしたいと感じました。

いつもありがとうございます。
23. Posted by hide   2011年12月25日 01:57
こんにちは。

ページングの具体例わかりやすかったです。
私も若い頃、外国で道に迷ってホテルに帰れなかった時、途中で東洋人を見つけ話しかけて、
日本人だった時の嬉しさや安心して延々といきさつなどを話した事。タクシーで送ってもらった事
などを思い出しました。

相手の方も日本人という事で安心して話しを聞いてくれ、送っていただけたのだと思います。
感謝・・・。

ちょっとずれてるかも知れませんが、理解できました。

あと子供に対してディスペーシングの心当たりがあるので、今後は注意したいです。
今、気づけて良かったです。

ありがとうございました。

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