2005年01月29日

なぜ、コーチングを導入する組織が増えているのか?種明かし!


ここ数年、大企業から中小企業まで、「社員のモチベーション向上法」お
よび「自立型の人材育成法」としてコーチングを導入する企業が増え続け
ています。

今日は、「なぜ今コーチングなのか?」について熱く(?)語りたいと思
います。

最初に、どんな背景でコーチングが注目されるようになってきたのか、そ
の背景から整理してみましょう。


1)外発的モチベーションの効力低下

人を外部から動機づけしていく方法を外発的モチベーションと言います。
別の表現をすると「アメとムチ」がこれにあたります。
例えば、「業績を上げれば昇進・昇給する」「仕事でミスをしたらペナル
ティーがある、叱責される」などの仕組みです。

もちろん、企業において、この外発的モチベーションは必要です。
そして、経済が右肩上がりの時代は、「頑張って昇進したい」「豊かにな
っておいしいものを食べたい」という欲求を持つ人が多かったため、外発
的モチベーションがその欲求を刺激し、よく機能しました。

しかし、・・・

しかし、時代が変わり、この外発的モチベーションだけでは社員のやる気
を維持できない時代になってきました。
「成果主義を導入したものの、社員のモチベーションが上がらない」とい
う話はめずらしくありません。

この外発的モチベーションが通じにくい傾向は、若い人ほど顕著です。
子どものころからおいしいものを食べてきた世代は、頑張って稼ぐことに
ハングリーになるよりも、精神的な充足感・満足感を大切にする方を好む
傾向にあります。

その傾向を代表する言葉は、「昇進はそこそこでいいので、もっと休日を
下さい」です。
この傾向は、現在の大学生・高校生が社会人になるころは、ますます強ま
っていくと言われています。

一方、本人の中から精神的な充足感・満足感を引き出し、それによって動
機づけしていく方法を内発的モチベーションといいます。
この内発的モチベーションは、外発的モチベーションよりも強力で、持続
性があり、かつ、創造性を生み出します。
また、若い世代に対しても非常に有効です。

今、企業は、外発的モチベーションの仕組みに加えて、社員の内発的モチ
ベーションを引き出す手法が必要とされる時代に入ったと言えそうです。


2)顧客ニーズの多様化

1990年代に入って、企業を取り巻く環境の変化が激しくなり、そのスピー
ドは加速化してきています。
例えば、市場構造は、メーカー主導から消費者主導へ、企業主導から顧客
主導へと急速に転換しました。

そして、顧客ニーズはますます多様化しつつあります。
「いいものを作れば売れる」「よい仕事をすれば売れる」という時代から、
「今、顧客が求めているのは何か?」を的確に把握し対応していかないと
勝ち残っていけない時代にシフトしてきたわけです。

企業にとって、多様化する顧客ニーズを的確に把握し、環境変化のスピー
ドに迅速に対応するためには、以下の2点が重要なポイントになってきま
した。

 (1) 情報のボトムアップ
 顧客情報・現場情報がトップにまで上がっていくには、「部下の声に耳
 を傾けるマネジメント」を組織に浸透させる必要があります。
 部下から上司への報連相を増やすために、部下に報連相のやり方を教え
 るだけでなく、上司側にも「部下から情報を引き出すスキル」が必要に
 なってきました。

 (2)自立型人材
 環境変化のスピードの中にあって、言われたことしかやらないマニュア
 ル型社員では、そのスピードに対応できなくなってきました。
 そこで、 自ら考え、自ら行動し、自ら成果を創り出せる「自立型人材」
 を育成する必要性が出てきました。

 自立型人材は、臨機応変に、柔軟な対応ができる力を持った人材と言う
 こともできます。


今日は、コーチングへのニーズが高まっている背景についてお話しました。

このブログ内での関連記事は、1月6日「報連相を引き出すコーチングの
スキルとは?」や、1月7日「コーチングと女時社会の関係とは?」など
が参考になると思います。



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1. チーム主義  [ リベンジサクセス ]   2005年01月30日 13:25
今日は、財団法人・中小企業異業種交流財団とのヒアリングでした。   中小企業総合展2004に出展した有望な15社の事例集を作成するため   だそうです。   (わざわざ東京から久留米までご苦労様でした。)   弊社は「チーム主義」を事業方針の

この記事へのコメント

1. Posted by お礼状ブログ管理人・心月です。   2005年01月30日 08:36
野口さま、おはようございます。

コメントありがとうございます。

モチベーションの維持と上げ方は大切ですね。

私自身も、わかっちゃいるけれど、
なかなか実行に移せないタイプです。

人間は、精神的満足の得られるものを
優先したいものだと思います。

やりがいの位置づけが大切ですね。

2. Posted by ブルボン   2005年01月30日 11:39
呉の日産中古車の大窪です。
けっこう昔、コーチングセミナーに参加させて頂いたのですが覚えてらっしゃいますか?

あれからもずっと本を読みあさってはおりますが、まだまだ精進の日々です(笑)

毎日、うなずきながら読ませていただいてます。

今回のブログもほんと我が社に出来ないかと思ってます。
(日産はゴーンさんのコーチングで立ち直ったと言われますが、あくまで本社です)

まだ私の店はいいでのすが、他の店を見ると気の毒になってしまいます。
せっかく縁があって同じ会社なんだから、改善に手伝いたいとは思うのですが、
まだまだそんな力のない私です。。。 こつこつがんばろう (^o^)丿
3. Posted by 教職・就職応援コーチ   2005年01月30日 12:00
大学付属の中高一貫校で働いています。
今春から、コーチングの手法を高3の選択授業で取り入れ、生徒がコーチ役ができるようになったらいいな、と計画中です。

教職に就きたい人を応援するブログも作りました。

教育の場にも、コーチングを広めたいと思っています。(会社員に比べ、教員間では、コーチングの認知度が非常に低いと、日々感じています)

野口さんのブログは、コーチ仲間に教えて頂きました。また来ます!
4. Posted by ふうか   2005年01月30日 21:47
野口さま

【月収200万男】の作り方ブログのふうかです。

コメントをいただきまして、
ありがとうございます。

ダンナに、にわかコーチング風のアプローチを
試してみては、撃沈!を繰り返しております。

また、こちらを読ませていただきたいので、
リンクさせていただきますね。

よろしくおねがいします。

5. Posted by 野口嘉則   2005年01月31日 21:09
心月さん
コメントありがとうございます。
「やりがいの位置づけが大切」とのこと、まったく同感です。

ブルボン(大窪)さん
お久しぶりです。
日本コーチ協会の広島チャプターのセミナー以来ですね。
お元気ですか?
おたがい、こつこつ頑張りましょう。

教職・就職応援コーチさん
はじめまして。
教育の場にコーチングを広めようとされてるんですね。
未来を背負う子ども達のためにも、頑張って下さい。

ふうかさん
コメントありがとうございます。
ダンナさんへのアプローチ体験談、また機会があったら教えて下さい。
6. Posted by miwa   2005年12月29日 18:21
コーチングってやっぱり今の時代にとても必要だと感じます!

というより、自分にかな・・^^;

益々興味がでできますね!
応援してます!
7. Posted by みぱ   2007年03月31日 09:02
女時社会の頁でも思ったのですが、
今回の記事でもとても大きく頷いてしまいました。

内発的モチベーションを誘発させるためには
まず上司側が部下から情報を引き出すスキルを
身につけないといけませんよね。

毎日試行錯誤してますがなかなか・・
本当に難しいですね。
8. Posted by aoiumiaruku-v.v   2007年05月09日 13:54
なるほどと思いました。
「昇進はそこそこでいいので、もっと休日を下さい。」
などと聞くと、
(今の若者はやる気も根性も無い・・・)
なんてさげすまれそうですが、
産まれた時から、モノは足りている代わりに、
ココロが満たされない環境だった人にとっては、
当たり前の現象なのだと思いました。

昔は、その時代に必要な人が生まれてきた。
今は、今必要な人が生まれてきている。

そんな風に感じました。
9. Posted by あきたん   2007年10月09日 00:24
コーチングが注目されるようになったのも、
時代の必然、っていう感じですね。

挙げられた理由が、とても身近に感じられます。
10. Posted by aoiumiaruku-v.v   2007年12月31日 02:06
【内発的モチベーションは、外発的モチベーションよりも強力で、持続性があり、かつ、創造性を生み出します。】
これ↑なんだか嬉しくなりました。
私たち若い世代の人間が「より人間らしくなり、より進化している」ってことだと思えるからです。
外発的モチベーションは、家畜やペットなどの(調教)とイメージが重なります。ココロの充足の力の方が、創造性も持続性ももたらすって、嬉しいですよね。
何故かというと、今の団塊の世代の人たちは「ハングリー精神がないと力を発揮できない」っていう考え方が主流で、しかもその考え方を(当然のこと)として押し付けてきたりもするからです。ガツガツしなくたって、私たちには私たちなりの(燃え方)がある。静かな炎は恐いんですから。
11. Posted by マーガレット   2008年02月22日 13:19
野口さん、こんにちは。
何かについて熱く語れるものがあるって素敵なことですね。
コーチングへのニーズが高まっている背景について、
よくわかりました。
今、前の記事で紹介してくださった「心のメッセージを聴く―実感が語る心理学」を読んでいます。
野口さんのブログでコーチングマインドを学んで、身近な人たちの「心の実感」のそばにいてあげられる人になりたいです。
毎日「次の記事」へ進むのが、とっても楽しみです☆
ありがとうございます。
12. Posted by マーガレット   2008年03月31日 13:24
野口さん、こんにちは。
「聞く」と「聴く」の違いは?の質問を投げかけていただいてから約3ヶ月になります。
どの記事もとっても濃くて、人として大切なマインドを学ばせていただいています。
私のカタイ頭の中で考えていた、“コーチング”“質問”とは全然違っていました。
そして、すべての記事から野口さんの熱い想いと優しさが伝わってきて、
いつも目の前のことにベストを尽くすとは、こういうことなんだど思いながら、私自身のことを見つめ直しています。(20代の頃、いくつかの職業を経験したことなども思い出したりしながら)

今、なかなか前に進めなくて、立ち止まったままですが、
野口さんの本の出版のニュースは、私にとっては、光のような贈り物です☆☆
私は、光の方へ進みます(*^_^*)
4月は、キラキラの予感。。。
野口さん、いつもありがとうございます☆
13. Posted by shige   2011年01月30日 00:30
「昇進はそこそこで良いので、休日を下さい」
なんとなくわかる気がします・・・(汗)
僕も、その若者に一歩足を踏み込んでいるんですかね。

だからこそ、自身の内発的モチベーションをしっかりあげられるように
がんばりたいです。
将来経営者を目指す身としては、今からしっかり考えていかないとなぁ
と感じました。

ボトムアップの経営スタイル、忘れないようにしたいです。

14. Posted by リリィ♪   2011年01月31日 12:11
私も精神的充足感・満足感を大切にする気持ちが良くわかります。
コーチングの基盤は
相手を理解し、信頼することだと思うので、
関心を持って学ぶ人が増えるのは嬉しいです。
ありがとうございます。
15. Posted by アーナンダ   2011年12月12日 15:13
連続で読んでいたのですが、
この記事の所で
数日たちました。
数回読みました。

何か
前に進む力が落ちているのです。

外発的モチベーション
から
内発的モチベーション
の必要があるようです。

いつもありがとうございます。

16. Posted by hide   2011年12月24日 08:41
こんにちは。

外発的モチベーションを使ったマネジメント手法は、これまで経営者が自らの体験から、
経験則的に使っていたと思うのですが、時代の変化とともに結果も鈍化するようになり、
内発的モチベーションを引き出す手法として、コーチングが広まったと思いますので、
まさに、コーチングは時代が必要とした手法であるのかなと思います。

ここ数年の世代間の意識の変化は急激だと思いますので、若い部下を持つ私自身、
これから身に着けなければならない手法だと痛感しております。

ありがとうございました。

17. Posted by パンケーキ   2020年01月04日 17:02
時代の移り変わりは激しいですね。
急激な変化についていけないのが正直なところ。

このブログが書かれたのは今から15年前ですよね。
今でも、コーチングの意義は変わらないですね。

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