2005年01月16日

部下の報告を確実に理解する極意とは?(コーチング的聴き方)

ドクター・スピルバーグは38歳の若さでありながら、優秀かつ高名な外
科医であった。

しかし、仕事を離れると、よい親でもあった。
ある休日、ドクター・スピルバーグは、自分の子どもを遊園地に連れて行
った。
かねてからの約束であった。

しばらく遊んだ後、ドクター・スピルバーグの子が「のどが渇いた」と言
った。
すると、ドクター・スピルバーグはビールを買ってきて、自分の子に飲ま
せたのだ。

すると、一人の体格のいい男が、スピルバーグ親子の方に近づいてきた。
スピルバーグの子は、その近づいて来た男に気づいて、その男に向かって
「お父さん!」と言った。
すると、その男は「ビール、おいしそうだな」と答えた。

さて、ここでクイズです。

(1)近づいて来た男とドクター・スピルバーグの関係は?

(2)ドクター・スピルバーグが、自分の子どもにビールを飲ませたのに、
   それは何の問題もないとしたら、なぜだろうか?

ぜひ、答えを考えてから続きを見てください。   

(1)の答えは「夫婦」です。

近づいて来た男は、ドクター・スピルバーグの子どものお父さんなのです
から、ドクター・スピルバークから見れば、夫ですよね。

ドクター・スピルバーグの名前は、メアリー・スピルバーグ。
そうです、ドクター・スピルバーグは女性なのです。
(男性であるとは、どこにも書いてありませんね)

(2)の答えはいろいろ考えられると思います。
その一つは、「ドクター・スピルバーグの子は成人していた」というのも
あり得ますね。

ドクター・スピルバーグが18歳くらいの時に産んだ子で、すでに大人に
なっていたというわけです。


このクイズは、「先入観(思い込み)」がなければ、簡単に答えを出せる
クイズです。

しかし、ドクター・スピルバーグを男性だと思い込んだり、スピルバーグ
の子を未成年だと思い込んでいると、なかなか答えが出なかったり、答え
が複雑になってしまいます。

「どうして、スピルバーグの子は、スピルバーグ以外にも父親がいるのだ
ろう?うーーーん、実の親と育ての親か?それとも??」

「どうして、スピルバーグは、子どもにアルコールを飲ませたのだろう?
スピルバーグはアルコール依存症で、それで、・・・??」


私達は、相手の話を聞く時に、先入観(思い込み)で、勘違いや早とちり
をしてしまうことがあります。

部下の話を聞いていて、「この部下のいいたいことは、こんなことだろう」
とか「どうせこいつのことだから、いつものようにいい加減にやったんだ
ろう」とか、先入観で判断してしまうことがあります。

先入観で判断して勘違いをしておいて、「言いたいことはわかった」と言
って、部下の発言をさえぎってしまう。
勘違いしたまま叱りつけたりすることもあります。

「あなたの上司の、どんなところが不満ですか?」というアンケート調査
を見ると、「話を正確に理解してくれない」「話を途中でさえぎられる」
などが上位に挙がっています。


先入観で勘違いすることを避けるためには、「わかっている」つもりで聞
くのではなく「知らない」というスタンスで聴くことが大切です。

「相手が言わんとしていることは何か、私はまだ知らない。だから知りた
い。」というスタンスで聴けば、自然に集中して聴くことができます。

「知らないから知りたい」と思って聴くと、相手も「聴いてもらってる!」
という安心感から、さらに話してくれます。
こうして情報量が増えれば、勘違いや早とちりする可能性は、さらに減っ
ていきます。


私達が、相手の話を聞く時に、最も先入観で聞いてしまいやすいのは、身
近な家族の話です。
勘違いや早とちりは、いつも身近に接している家族に対してが、一番多い
わけです。

身近なだけに「わかっている」つもりになってしまうのでしょう。
(書きながら、おおいに反省中!)

「知らない」というスタンスで聴くトレーニングは、家族や身近な人に対
してするのが、最高の訓練になりそうです。
私も、「答えは相手の中にある」と自分に言い聞かせて、家族の話を聴く
ようにしています。


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この記事へのコメント

1. Posted by マツイ   2005年01月16日 09:31
思い込みのクイズは面白いですね

何かのアイデアを出すときも思い込みが壁になるときもあります
経験が邪魔をすることってはよくある事ですね
「知らない」というスタンスで聴くトレーニングは大切でしょう

私は職場ではそれに加え「今の君の話を僕は〜のように理解したのだけどこれでいいだろうか?」というような問いかけによって自分に思い込みや誤解がないか確認するようにしています。

また、相手が何かの思い込みで話していないか知るために、「その話しは事実か、それとも君の推論か?」を問うようにしています。

また他のクイズを楽しみにしています。

2. Posted by 大金   2005年01月16日 10:50
最初、1の答えを、
Dr.スピルバーグの子供は、奥さんの連れ児で、子供がお父さんと呼んだのは、生物学的な父親。

2の答えを、ビールはビールでも、ルートビア

って思いつきました。

ヘンかも・・・



3. Posted by たぬきコーチ   2005年01月16日 13:22
いやいや、これはおもしろい。

(2)はすぐに思いついたんだけど、(1)は完全に先入観でしたね。
頭の中には最初から男二人の姿しかイメージできませんでしたから。

このネタもらいっ!
4. Posted by 野口嘉則   2005年01月17日 23:06
マツイさん
自分の理解を確認する質問をしたり、事実と推論を区別しながら聴く。
これをやると、誤解がグッと減りますよね。
「知恵と情報の宝庫」作りにご協力いただき、ありがとうございます。

大金さん
もちろん、大金さんの答えもあり得ますよね。
正解は1つではありませんからね。
なるほど、連れ児ですか。

たぬきコーチさん
このネタ、どうぞ使ってください。
5. Posted by miwa   2005年12月29日 15:19
マツイさんのコメントも勉強になります。
お互い確認しあうことも大事でした!
勉強になります。
6. Posted by 無限不動山   2006年09月09日 15:57
野口さん、こんにちは。

クイズの答えは、見事に出てきませんでした(笑)。

「分かっているつもり」は、社会に出て、いろいろと勉強している過程において、

いつも私が陥っていた事です。

中途半端な時期ほど、「聴く」より、自分が「言う」に心を奪われていたのだと思います。

「知らないから知りたい」という態度は、テクニックではなく、相手に対して、本当に誠意を表す態度になるのでしょうね。

早速、実践します。

今日もありがとうございます。
7. Posted by み〜ぶ〜   2007年02月13日 21:16
野口さん、こんばんは。
野口さんのブログって、本当にすごいですね!
記事から記事へと、いいタイミングで導いてくれるんですね。
大切な人が、目の前にいてくれることが奇跡だと思って
いろんなことを話したい(聴きたい)です。
特に縁起でもない話は、「知らない」部分をいっぱい持ってると思うので
元気な時にお話して(聴いて)おきたいです。
今日も素敵なコーチングをありがとうございました☆
8. Posted by みぱ   2007年03月18日 09:51
今回もとても耳が痛いお話でした。
相手の言葉をさえぎるようなことはしていないのですが、
相手が話している間に自分が次にしゃべる言葉をすでに考えている
ことがよくあります。
それでは相手の話を半分聴いていないようなものですよね。

クイズの答えも思いつきませんでした。
相手に対して誠意を表す態度として「聴く」を実践していきます
9. Posted by aoiumiaruku-v.v   2007年05月09日 01:11
特に家族に対しては、
「どうせ○○でしょ?」という気持ちで聞いてしまいますね。

そして聞いてるうちに自分の意見がまとまってきて、
受け入れる姿勢が形だけのものになってしまったりします。
そして(あいづち)で間合いをはかって、
自己主張の(打ち負かし試合)が始まったりします。

身近だからこそ、いい稽古になりますね。
【まずよくきく】
言いたくなったら息を吐いて、
【もっとよくきく】
相手の中にある(新しい答え)を見つけ出す。
頑張ってみます。( ^ o ^ ;)

10. Posted by あきたん   2007年07月22日 23:26
「知らない」というスタンス・・・
う〜ん、耳が痛いですね。
どうしても、自分が知っていることに引き合わせて
聞いてしまいますよね。
頭の中であれこれ連想しながら。

そしておっしゃる通り、子供に対してが一番そうだと思います。
まだ正確に話すことができないから陥りやすいんだとは思いますが、
先読みせず、本人が伝えたいことをきちんと汲み取れるように
なりたいですね。
11. Posted by aoiumiaruku-v.v   2007年12月26日 02:14
(答えは相手の中にある)
家族にたいしても謙虚にそう思えるかな。
自分に自信がないくせに押し通す・・・
自分の価値観を傷つけられたくない・・・

もっと強くなりたい。
もっと素直になりたい。
最近、強さ・素直さにも深さがあることに気付きました。
まだまだ大切な域まで届いてなかったと反省してます。

「意志あるところに、道はある」
そうですね。ほんとに。がんばります。
12. Posted by マーガレット   2008年02月01日 19:31
野口さん、こんばんは☆

思い込みや先入観で相手の気持ちを決めつけて感情的になり
お互いに傷つけ合っていることもよくあります。
指摘されてわかることですが、指摘されると腹がたちます(^_^;)
「今ここ」を意識して、今晩から「知らない」スタンスで聴く訓練をします。
私の話を聴いてくれて言葉があってもなくても
返事をしてくれる人がいることに感謝して☆
いつもありがとうございます。
13. Posted by 成長ゲームマスター   2011年01月16日 06:19
5 「知らないから聴きたい」
「答えは相手の中にある」
ですね。

なるほど。
答えが一つではないとすれば
自分の答えは自分だけが知っており
相手の中にある答えは相手にしか知らない。

だから、「相手の中にある答えを聴かせて欲しい」という態度で
これから傾聴していきたいと思います^^
14. Posted by na7me7   2011年01月17日 23:11
最も先入観で聞いてしまいやすいのは、身近な家族の話・・・

わかっていると
思ってしまってるなぁ・・と私も大いに反省です(^_^;)

知らないスタンスで聴くことは
今の未熟な私には
まだまだ、難しいところもありますが

「答えは相手の中にある」

『答えは相手の中にしかない』
  ↑
この言葉を共有して下さった学友に感謝です♪
すごく心の響きました(^^)

この姿勢を意識していこうと思います!
15. Posted by リリィ♪   2011年01月18日 11:19
ありがとうございます。
人の話を聴くのは好きなのですが、
自分の思い込みで勘違いしている、
もったいない状況が多々ある気がします。
気をつけます。
16. Posted by shige   2011年01月19日 01:51
先入観のお話はとても勉強になりました。
記事の内容は、以前ポッドキャストで拝聴したのですが
僕は見事にこたえられませんでした。
(ドクタースピルバーグは僕の中で完全に男性でした 笑)

家族に先入観を持ちすぎなのは、まさにその通りだと
感じております。

家族との会話の中、しっかり話を聴けるように心がけて
行きたいと思います。

17. Posted by アーナンダ   2011年11月20日 13:19
>>
「知らない」というスタンスで聴くトレーニングは、家族や身近な人に対してするのが、最高の訓練になりそうです。
私も、「答えは相手の中にある」と自分に言い聞かせて、家族の話を聴くようにしています。
<<
これは本当に私にとって試練です。
今日の午前中の知人からのセールス、
昨晩の友人からの相談電話、
そして妻との会話。

遮ってしまうんです。

『知らない』
と思って
興味を持って聞く訓練をしてみます。

いつもありがとうございます。
18. Posted by hide   2011年12月01日 10:26
こんにちは。

今回のクイズでいかに自分が先入観を持って、人の話しを聞いたり、
書き物を見ているのかを気づきました。

「知らない」というスタンス。
この姿勢が相手の理解にもつながり、間違った判断を防いでくれるので
大切ですね。

「答えは相手の中にある」。
日々心がけたいと思います。

ありがとうございました。
19. Posted by パンケーキ   2019年10月07日 21:57
「私達は、相手の話を聞く時に、先入観(思い込み)で、勘違いや早とちりをしてしまうことがあります。」
→これ、まさに私です(猛反省・・・)
最後までしっかり聞けてないし、勝手な思い込みで聞くから、理解しきれなかったり、こじれたりしてしまうことがあります。

なので、文中にあるように「相手が言わんとしていることは何か、私はまだ知らない。だから知りたい。」というスタンスでこれから聴くようにします。

日々、トレーニングで意識し続けないと、忘れてしまいそうですね・・・。

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